毎日報道されている宮崎の口蹄疫。一度は収束しかけてほっとしていたのですが、今や私の故郷都城で被害拡大。GW前には大したことないと思っていたものが、梅雨の時期に入り、この長期化や悪化は本当に宮崎を暗くしていると思います。
殺処分にあたった畜産農家の方々が悲痛な面持ちで取材に答えておられるのですが、家族同然だった家畜を殺さざるを得ない苦しみに対しては、言葉にしようがありません。以前私も数件の畜産農家を訪ねたことがあります。ブランド牛で有名な農場でした。広々として本当に清潔ですがすがしい農場でした。そこの牛は目がつぶらで、人を全く警戒していません。おいしいブランド牛を見にいったのに、あまりに可愛く、しばらく牛肉を口にすることができませんでした。豚も同様です。
見学したら口に出来なくなった、と話をすると、”であれば残さず最期まで食べてあげてほしい”と言われて、まさに”いただく”という言葉の意味を理解できるようになりました。仕事として故郷宮崎で過ごしたことで得られた最大の学びです。宮崎のブランド牛育成が軌道に乗り始めた頃、畜産農家のいくつかでは、”息子が後を継いでくれると言っている”という創業者の方々の笑顔を見ることがありました。
畜産業は日本の農業の中で将来性を期待されている産業です。気候の変動を受けにくく、産地と消費地が離れていても、さほど影響がありません。キロあたり単価が比較的高いので、物流コストをかけてでもペイします。そんな要素もあり、宮崎の農業法人のいくつかは、投資を受け上場間近のものさえあったと聞いています。多くの補助金をつぎ込まないと維持できないコメ農家に比べて、自立心高く、工夫を重ねて今の日本の良質な肉類が作り上げられてきました。
TVで見ていても、正直初動の対応がまずいのではないかと感じざるを得ません。一番は埋める用地が早期に確定できなかった点です。大都会の真ん中ならまだしも、国有林・地が多く存在する宮崎で、国が早期に決めれば、用地確保は問題無かったのではないかと思うだけに、”また”役所が使い物にならなかったことに怒り呆れます。
畜産業の問題のみならず、死んだようになっている町、観光における打撃、と宮崎(+南九州)全体の生活全体にダメージを与えつつあります。国に支援を求めているだけでなく、国のルールに縛られて対応仕切れない、地方の苦しさをここにも感じます。宮崎、本当に心配です。