私は、のんびり歩く山の旅は大好きですが、とっても高いところは苦手です。それというのも、数年前に行ったブータンで、それはそれはつらい高山病になってしまったことがきっかけでした。元気いっぱいにタクツァン僧院に向かったその帰り道・・突然の頭痛と吐き気に襲われ、ガイドさんとドライバーさんにおぶってもらって下山した、という記憶は今も消えません。幸いなことに、一晩寝てすっきり!とすぐに回復したのですが、それ以来”標高差”は私の鬼門です。
なのになぜ、私は思いつかなかったのでしょうか・・。スイスの山はと~っても高い!ということに。登山とトレッキングはまるで別物のようなイメージを与えます。ブータンの後向かった山、そこはカナダのウィスラーでした。夏山で山岳植物を眺めながらの山歩き、それはそれは楽しいものでした。で、その延長線上のスイス。
ハイジの村にも行くよ~ユキちゃん(白ヤギ)いるかな~と楽しみな行程。まずはモンブランを目指します。ツェルマットから山岳鉄道に乗ってゴルナーグラートへ。あれ??ちょっと空気薄い??え~っとちょっと頭痛いかなあ、でも気のせいだろうか?町に下りてあとは、市街地を散歩しつつ回復。
で、次はインターラーケンを拠点に、ユングフラウはじめ名峰と呼ばれるところが方々に広がるところに移動。インターラーケンと山の間は山岳鉄道やリフトでみごとにつながれています。晴天にも恵まれ、上下を繰り返していると・・・。う~ん、頭いた~い!!この感覚、嫌な予感。でも、ブータンやマチュピチュで高山病になった人の話は良く聞くけど、スイスはあまり聞かないなあ、あまり標高差は無いのかも。
などと思っていたのもつかの間。ガイドブックにはちゃんと書いてありました!”高山病に注意”やっぱり!!だってここ空気薄いもん。その後はペースを落としてゆっくり行程に切り替えてもらいました。(だって里と山を一日に3往復したんですもの)
その後、標高を調べました。高い高いと思っていたブータンのタクツァン僧院の標高は約3000メートル。ツアーの出発点は2500メートル。高度差はあれど500メートルだったんですね。一方で、ツェルマットとマッターホルンそばのゴルナーグラートは1600メートルと3000メートル。ユングフラウはもっと高くて4000メートル級、その足元のインターラーケンは1000メートルぐらい。3000メートルの高低差を行ったり来たりすればそれは頭も痛くなろうというものです。もちろん、山岳列車はゆっくり上がっていきますよ。休憩もできますよ、でもね・・。
このスイス旅行の前、ブータンに一緒に行った友人たちと歌舞伎を観にいき、またまたイジられていた私。(それは死ぬほど苦しい中でも、おんぶしてくれる人の背中の肉付きを選り好みしたからなんですけど)”貴子さん、高山病のスペシャリストだよね~”なんて言われている中、へへへと笑うだけじゃなくて、スイスに行くことを言うんだったなあ。そしたら”気をつけないと”の一言はあったと思うし。
そういえば、標高差だけじゃなくて、気温差もすごかったんですよね。(室内が大半ではありましたが)何とか無事帰国したものの、”おっ思ったより元気、やるじゃん私”とナメてかかってハイペースで仕事や会食を入れまくった後、あれっ私、ノドが痛いみたい・・。そう風邪をひいてしまったようなのです。スイスで大量に買ってきたノド飴を愛用しつつ、ようやく乗り切りつつあります。
私、決して”山好き”ではないんですけど・・。それにしても本当にどこも良く晴れました。高山病になりかけても、晴れ女パワーは健在でございました。そして気づけば、アジア・北米・欧州の”高いとこ”にトコトコお出かけしておりました。