サントリー美術館(六本木のミッドタウン)で行われている”森と湖の国 フィンランド・デザイン”を見に行ってきました。友人が企画に携わっていて、開催を楽しみにしていたものです。
美しいと同時に、とても良く構成されていて、見やすい展覧会でした。展示されているもので、欲しくなるものもたくさんあり、まさに、生活を豊かにするアートを実感させてくれる素敵な展示です。まだの方はぜひ足を運んでみてください。お奨めです!
フィンランドの森を思わせる素敵なインスタレーションからスタートするのですが、展示の多くは”美しいリアル”です。フィンランドのガラスは、芸術家主導というより、企業が主導した珍しいものだそうで、実際に多くのイッタラの商品を目にすることができます。
ガラスや陶芸の作家物を目にするのも楽しいことではありますが、生活の中で使うものなので、使いにくい・割れやすいでは、せっかく購入してもまさに宝の持ち腐れです。我が家にも多くのイッタラ社の商品がありますが、こういう会社のこういう商品だと知ったのは実は割と最近のことです。シンプルで使いやすそう、と手にとって数をそろえ始めたら、いつの間にか個数が増えていた、という感じです。
展示の中で、作品から商品に変わっていくプロセスも説明されていました。手作りで作家が発表し、展示会で賞を取ったあと、様々な工夫を重ねて量産化に結び付けていくのだそうです。チャレンジして作ったデザインですから、当然量産化はそれほど簡単なことではないはずです。そのプロセスを経ることが強みになり、イッタラは現在の地位を確立しています。
ガラスの世界も、低価格化が進み、国内での雇用を守ることがより難しくなってきていること、その中でデザインに活路を見出し、常に新しいスタイルや量産化の技術を生み出すことで、国内生産を守っていることなども説明されています。この努力やデザイン力を活用する考え方は、日本の製造業にも多くのヒントを与えてくれると思います。