今、オールザットスパオオサカは、開業前の仕上げ段階に入っています。セラピストたちは、トレーニングに取り組んでいますし、マネジャーやコンシェルジュは、ご予約・お見送り・会計方法など、ゲストが快適にお過ごしいただけるよう、フローを確認中。マーケテイングはツール作成や情報発信、既存のお客様への開店のご案内など、もうまさに猫の手も借りたいほどの忙しさ。
こんな中、私は何をしているかと言うと、重箱の隅をつつくような細かいことを何度も頭の中でシミュレーション中。足りない備品や小物を買い足したり、入れ替えたり、現場で撮影してきた写真をもとに、色や質感をチェックしたりしています。そしてまた来週現場で再確認します。当面は、この行ったり来たりの作業の繰り返しです。
この最終段階において、細かなものの選択で悩みます。いくら上質なスパブランドのコスメを使っていても、オリジナルの化粧品を作っていても、セラピストがゴッドハンドでも、お迎えでがっかりされたら、そしてトリートメント後のラウンジでがっかりされたら、ホテルスパとしては失格です。
コンセプトの開発に始まり、こういった最後の細かな点を決めていく中、いつも感じるのは自分の”引き出し”の大切さです。面白いものが見つからない、探すネットワークが無い、という場面では、本当に悩みます。こんな時、実はスパと全く関係の無い分野での経験が、この”引き出し”を増やすことにプラスになっていることに気づきます。
たとえば、今回、”日本のもてなし”をテーマに掲げたいと思ったのは、鳴海製陶のアドバイザーのお仕事を通じての経験でした。洋食器として有名なメーカーであり、ボーンチャイナのモノ作りでは定評があります。商品開発、工場の方々との話し合い、海外の展示会の視察、そして、プロジェクトの最中に起きてしまった東日本大震災、そういった経験を経て、OSOROという商品を開発しました。www.osoro.jp
この商品は発表当初から、まずは海外でとても高い評価を受け、多くのコンセプト、デザイン関連の賞を受賞しました。コンセプトを明確にすることや、日本のこだわりを伝えることが、いかに人々に受け入れられるかを実感し、また自信にもつながりました。
こういったプロジェクトを通じて、自分で美術展や展示会を見て回ったり、実際に工房や作家さんに連絡を取って会いに行ったり、買って使ってみたりしたことが、今回のスパのディテールの表現につながっています。ぜひ、スパにいらしていただき、そんなこだわりの数々を手にとっていただきたいと思っています。