スパに関わっていると、植物のパワーに感動を覚えます。ハーブやタラソのワークショップで、強く記憶に残っているのが、”食物はその場から逃げられないから進化してきた”という言葉です。様々な環境の変化や人間による自然破壊があっても、生き延びてきた力が、私たちに多くのものを与え、教えてくれます。
野菜も同様です。手にする野菜を、まずは有機や減農薬などで選びがちですが、選べる野菜の種類が増える中、”どうやって調理すればいいの?”と首をかしげてしまうこともあって、きちんと勉強することにしました。
私が通っているのは、大手流通や外食チェーンに、野菜を供給している会社の研究部門が主催している講座です。大量の野菜を何十年にもわたって分析し、科学的データを蓄積しています。それとレシピ開発などの利用シーンを融合させた内容なので、参加するたびに、多くの発見があります。
例えば、よく食卓にのぼるトマト。今、本当にバリエーション豊富です。
もともと、南米の厳しい自然の中に原種を持つトマト。その厳しさの中で生き延び、世界中に広がっていきました。生食で食べるのは日本が主で、他の地域ではもともと加熱調理でいただきます。それでうま味成分が最大化されるそうです。
日本では、ヘタも紫のものが一般的ですが、多くは緑。そして白い茄子もあります。英語のeggplantは、この白い茄子が卵に似ていることが語源だそうです。(謎が解けたー!)
夏の時期、水茄子が美味しい季節ですが、茄子もまた、生食が大好きなのは日本人ぐらい。欧州の茄子は皮が固く、かなり火を通さないとやわらかくなりません。今回のクラスでは、茄子のステーキをいただきましたが、こういった食べ方があると、お肉を使わなくても、本当に充実した一皿になります。
”野菜が体にいい”と言っても、実は不自然な育てられ方をしているもの(たとえば夏のホウレンソウとか)は、百害あって一利なし、といった栄養価でした。
謙虚な気持ちで植物に向き合い、理解してから恵みをいただく、ということが大切なんだなあ、と実感する日々です。