蓮の花が池一面に広がる様は、神々しいほどに美しく、思いがけず見ることができると、ずっとたたずんで眺めてしまいます。
美しい蓮の花ですが、その根は湿地の中にあり、泥の中からすくっとこの美しい茎と花が出てきます。しかも美しいのはほんの1週間程度の早朝。美しい花は数あれど、この地中と地上の差に、深いものを感じます。その愛着もあり、最初にスパを作ることになった、ウィンザーホテル洞爺ブルームスパのロゴには、蓮の花を使いました。実はこれ、原画は私が手描きしたものです。薔薇だと思っている人が多かったのですが、蓮です(笑)ホリスティックな繋がりを表したくて、一筆書きにしました。
このところ、知人友人と会っておしゃべりする中、蓮の花をイメージすることが何度かありました。それは、華やかで美しく見えながら、その過程には、努力や辛いことが山のようにあるこということです。しかもこれは例外なく。
女性活躍というスローガンのもと、様々なイベントやワークショップが開催され、色んなスピーカーが登場しますし、女性活躍をコンテンツにしてビジネスをするジャーナリストやコンサルタントの人も増えてきました。でも、実は本当に聞く価値のある人はほとんど登壇しません。登壇して人前で話すほど、工夫や努力した内容は単純ではないからです。
男性上司や部下との関係、仕事を取った取られた、女性同士の確執や嫉妬、実は、能力開発よりも、こういった人との関係をどうするか、難しい局面でメンタル面をどう維持するか、といった要素の方が多いような印象を受けます。セクハラパワハラは表に出ることもありますが、キャリアに繋がる微妙な事柄はほとんど表に出ません。
どう考えても不当だ、という話を聞き、一緒に悔し泣きしたこともあります。違いが出るのはその後です。黙々と仕事をし、社内が息苦しければ社外にネットワークを求め、気分転換できる趣味を見つけ、とにかく笑顔で仕事を続けるタイプの人がいます。数年ぶりに会うと、一回りも二回りも大きくなり、まぶしいほどの存在になっていました。一方で、何事も”モーティベーションが維持できない”と周囲のせいにして、いつ会っても愚痴と頼み事しかしないタイプの人もいます。こういう方の場合、目先の処遇に左右される転職が多く、かつ過去のお仕事においても、信頼関係を築くことができていません。甘え上手、頼み上手なのが特徴で、私も何度かお手伝いしたことがあるのですが、気づけば一度もその後の経過報告が無いので、徐々に距離を置くようになってしまいました。
20代30代は、一見差がつきません。チャレンジの場もたくさんあります。が、これが40代になり50代になると、チャンスはほとんど人脈でやってきます。そして、その人脈は、腐らず焦らず、信頼を重ねることでしか構築できないものです。今は泥の中にいると感じる瞬間もあるかもしれません。でも、花開いている方々は、必ずこの時期を経ているのです。