スーパーで、レモンを見る際、輸入品には、今”防カビ剤が使用されています”と表示されているものが増えています。農薬の実名が書いてある店舗も少なくありません。大抵は、その横に国産のレモンが置いてあります。店舗は誠実で、この表示を見ると、国産がいいと頭ではわかります。ただ、見かけは明らかに輸入品が綺麗で、価格もかなり低めです。購入する人を見ていると、比べた後で、”まあいいわ”と輸入品を購入する人がいまだに多いような気がします。だからこそ、店頭に置いてあるのでしょう。
すでに、防カビ剤の問題は、多くのメディアで取り上げられていますし、店頭表示もかなり”警告”に近いもの
https://dot.asahi.com/aera/2014060900046.html
有機の表示も、信頼性が高いものもあれば低いものもあり、かつ農薬を全て不使用にしてしまうと収穫量が激減し、手の届かない価格になるとの実情もあり、農薬使用のバランスは難しいものです。これは、現地に行けば行くほど実感します。また、植物が生きている間は、排出されるものもあり、収穫時の残留農薬検査で、ゼロになるように、絶妙な調整をして工夫している農家も存在します。
ただ、柑橘で使用されている、ポストハーベストの化学薬品は、別次元の話です。これは、収穫後にカビ防止を目的に塗布される、有毒性の高いもの。TBZ, OPP, チアベンダゾール 説明を読むだけで恐ろしくなります。
加えて、レモンの場合、黄色い皮が爽やかだというイメージが強く、レモンティー、レモンサワーなど、皮のまま長時間漬け込むような使用方法が一般的です。スパでもデトックスウォーとして水に漬けこんであるものがスパなどにも置かれています。もともと、レモンは疲労回復、豊富なビタミンC, 解毒効果など、多くの良い点があり、それが若々しく良いイメージに繋がっています。ただし、それは生果として有害なものを塗布されていないという前提です。
国産レモンと輸入レモンは、明らかにもちが違います。国産レモンを購入して、ちょっと油断すると、すぐにカビてしまい、廃棄したこと数知れず。その間も、輸入レモンはピカピカの状態で冷蔵庫にありました。確かに、この劣化を見ると、大量収穫・大量運送時に、カビを発生させたくない、と考えてしまった事業者の気持ちがわからないでもありません。レモンの保存方法や輸送方法が劇的に変わらないかぎり、柑橘を長期的に保存するのは難しいのだと思います。
産地を訪れてみて、果物として本当に当たり前のことを感じました。それは旬があり、時期によっては収穫できない、流通していない、ということです。冬の温州みかん、宮崎で美味しく食べていた日向夏や金柑と何ら変わりません。なぜレモンだけ、まるでプラスチックのように、いつもピカピカの黄色で、通年流通が当たり前だと思い込んでいたのか・・。
国産みかん、国産レモンは、日本の通商交渉の中で犠牲となり、農家が多くの困難を経て栽培し続けたものです。愛媛でも和歌山でも聞いた話を、ここ広島でも聞きました。その苦労を乗り越えて、地域の名産として確立させたこの地域の方々の取り組みには、頭が下がります。
スパザブルーに、広島の良いものを取り入れたいと思う中、広島のレモンを知る機会を得ました。そして、なぜレモンに防カビ剤が使われているのか、日本はそれを許可して流通しているのか、ようやく理解できました。広島の、そして瀬戸内の柑橘の良さを、もっと多くの方に理解していただき、そして当たり前のように、手頃な価格で全国に広がることを願わずにはいられません。