週刊ダイヤモンドのホテル特集。今年のタイトルは”激変!ベストホテル”です。毎年恒例のこの号、大人気なので、油断するとすぐに売り切れてしまいます。日中買おうと思っていたら、事務所そばのコンビニでは売り切れ続出で、帰りがけに代官山駅売店で最後の一冊を入手しました。いかにこの特集が注目されているか、と言うことだと思います。
ランキングの掲載もありますが、私自身が参考にしているのは、特集記事の方です。ビジネス誌ならではの視点で、ホテルの業態の垣根について分析しているのはとても興味深いものがあります。数年前の特集で取り上げられているのを見て、ビジネスホテルに興味が出て、出張の機会に新業態のビジネスホテルに宿泊したところ、あまりの充実にビックリ!先入観で選んではダメだなあと思いました。それ以降、できるだけ幅広いカテゴリーに泊まってみることにしています。
今回も、Part2意向で注目点についてシティとビジネスの境界線について書かれていますが、本当に近年のビジネスホテルの進化は目覚ましいものがあります。多少面積の限界はあるものの、機能的な設計とレイアウトで、広いベッドとお風呂は十分確保されますし、アメニティも厳選されています。かつ、お食事も朝食のレベルの高さには目をみはるものがあり、和食系であれば、シティホテルよりレベルは高いかもしれません。WiFi環境や、ビジネス向けの机のレイアウトなど、ホテルで仕事をする上でも、不自由を感じることはありません。あと、新しい施設であれば、空調や照明も古いシティホテルよりはるかに優れています。
宿泊する側の選択肢が広がる中、シティホテルに期待されるレベルは上がる一方です。特に、宿泊自体は、快適に経済的に宿泊できる選択肢が増えているので、プラスアルファが無いと倍以上の価格を支払う理由が見いだせなくなるのだと思います。
そのプラスアルファは”ホテルがデスティネーションであること”です。そのサポートとなるのが、ストーリー性のあるホテル滞在であったり、創造性豊かなレストランであったり、スパであったりします。そしてそれは、”海外からブランド丸ごと入れる”時代から、”海外を知り尽くした日本人によるもう一つ上のサービス”の段階に進化していると感じています。
まさにこの事例を、ジャーナリストの犬養さんが書いておられますが、海外のレストランでの日本人シェフの活躍は目覚ましいものがあり、フランスで星をとっているレストランには、必ず日本人の優秀なシェフがいる、とまで言われています。その人材をいかに厚遇で日本に戻し、日本の優れた食材とコラボしていくか、ということが大きな流れになっています。
これは、ホテルのレストランやスパを利用するゲストの経験値が上がっていることと密接に関連しています。今、上顧客層は自由自在に世界を駆け巡り、個人旅行を楽しんでいます。海外ブランドのレストラン、スパは一通り体験し、今更”日本初登場”にもそれほど反応しません。すでに体験済みであり、評価が定まっているからです。この夏も、友人たちから、レストランやスパの名前が続々と寄せられています。ブランドにはかならず人がセットで存在し、”誰がやるか”が大切であることを、すでに顧客は理解しています。ホテルの高級化路線を貫くということは、日本人顧客の”上質追及”にどれだけついていけるか、という現実を意味しています。
大坂のインターコンチネンタルホテル大坂にALL THAT SPA OSAKAを開業して3か月経ちましたが、この間、”スパ初めてなんです”というゲストは、ほとんどおられませんでした。国内外のスパを体験し、その上で評価し選択する、というゲストの皆様です。ご自身の生活のパターンに、スパが組み込まれており、定期的にトリートメントを受ける方、トリートメントを受ける時間を考えて定宿をこちらに移される方など、まさに”使いこなしている”という印象を受けます。こういった方向けの今後の新提案を考慮し、スパの名称を決めたわけですが、その考えは間違っていなかったと感じています。
今回のホテル特集、私自身とても興味深く、勉強になる内容満載でした。執筆された方々は、実際にご自身が宿泊しないと書かない方ばかり。一字一句に、説得力を感じます。未体験のホテルやレストランは、また一つ一つ訪れてみたいと思っています。