ハウスワイフ2.0を読みました。
米国に出現した、新しい女性たちの働き方が紹介されています。有名大学を出て就職しても、”これは私の目指す姿じゃない”と専業主婦となり、手作りを徹底した、まるで開拓時代のような生活を選ぶライフスタイルが紹介されています。
”LEAN IN"がベストセラーになったかと思うと、こういった本が出てくるあたりが、米国らしくて面白いというか、極端というか。会社に使われず起業しよう!という内容を予想していたのですが、まさか”大草原の小さな家”のライフスタイルが出てくるとは思わなかった、という意外性を考えると、個人的にはこの本の内容の方が興味を持てました。が、専業主婦になった人の”そもそも家事は女性がやるべき”というコメントや、LEAN INに出てくる強烈な”モテ願望”あたり、女性像に対するこだわりが、強いのかな?という印象は2つの本に共通しています。
読んでいて驚いたのが、今の米国における労働環境の過酷さです。高学歴を得るのに学生ローンを組む、就職先が少ない、就職できたとしても、学位に見合った職ではない、有給休暇が無い、有給の産休が無い(ということは、有給の育休も無い?)。米国は医療保険制度もかなりお粗末で、やっとできそうなオバマケアも、今や風前の灯、というあたりを考えると、多くの労働者にとって、そもそも厳しい環境らしい・・。
あともう一つ、食の安全安心への危機感がリアルに伝わってきます。あの不健康な食生活でよく病気にならないものだ、と思っていましたが、ここに来て、一気に流れが変わってきたようです。不調を訴える人が出てきたり、中国からの輸入食品で実際に死亡事例が出てきたことで、若い女性や母親たちに”政府は信用できない”との機運が高まってきたのでしょう。
その意味で、米国と日本の事情はかなり違うんだな、と感じました。バリキャリもゆるキャリも、それぞれの悩みを抱えてお仕事している日本女子ですが、いくつかの点で恵まれていると思います。それは、まだまだ社会的保障がある点。それから、”小さな”産業がまだ生きている、という点です。
米国は、効率追求を続けた結果、小さな産業がほとんど残っていません。農業も大規模、工業は工場自体を海外に移転、商業も街中にある小さな商店は数えるほどです。ショッピングセンターに入るような大型チェーンに集約されました。こうなってくると、起業といっても,実際のビジネスにしていくのは本当に大変です。作り手が見える距離、というのは、消費する側も安心ですし、提供する側も付加価値をつけやすい形です。女性の働き方を考える、というテーマでも、産業構造の与える影響は大きいものだ、と感じました。
働き方、という点では、ハードに働く見習い期、スローダウン期、お休み期、復帰アドバイザー期、セミリタイア期、のように、ペースを変えて働くことができないものか、という印象を持ちました。家で仕事をするのもいいと思いますが、人と会って話したり一緒に仕事をすることで、多くの知恵や学びが得られることを思うと、”つながる”場があることはとても重要です。それが会社という形でなくとも。
日本において、女性が働くロールモデルは、常に米国から入ってきました。今、それぞれが悩み、新しい形を模索しているのだと思います。そう感じる本でした。