フェニックスシーガイアリゾートの目玉施設だったオーシャンドームの解体が発表になりました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20140801-00003270-miyazaki-l45
1993年の開業後、季節営業を経て2007年に閉鎖、そして2014年の解体発表です。今回の解体にあたり、”何とかならないか””寂しい”といった声がネットに上がっていることを見てこのブログを書くことにしました。
オーシャンドームは、開業時の目玉であると同時に、ずっとこのリゾートの重荷であり続けました。経営を引き継いだオーナー会社は、この活用についてずっと慎重に検討を続けてきました、しかしながら、この施設は開発時からの根本的な問題を抱えていました。それは、350億円もの費用をかけて、維持コストの高い施設を作ってしまったという事実です。350億円・・・その金額的価値が本当にあるのか、私にはわかりません。でも、帳簿上はその数字が残るわけです。造波装置ひとつ取っても、あり得ないほどのオーバースペック、効率の悪い空調設計に設備、そのすべてが、このリゾートの経営を圧迫しました。日本の税制では、上物のコストが固定資産税の計算の根拠になりますから、20年以上をかけて、数十億もの税金が宮崎市に支払われました。
3セクで作られ、宮崎の集客の役割を担わされたことも、解決を複雑にしました。リップルウッドの買収により、この資産はフェニックスリゾート社に完全に譲渡され、100%民間の施設になったはずでした。しかしながら、何を決めるにも、地元の観光業者や自治体からの”申し入れ”がなされ、思うように決められない。私自身も、そのギャップを埋める役割を担った時期、あまりに経済性や所有権を無視した感情的な指摘に、困惑することがしばしばありました。
固定資産税の減免措置の要請、県や市の買い上げ(これにより税金が免除になります)の打診、この施設を維持するため、シーガイアの経営陣は、この20年超、運営継続のためあらゆる努力をしてきましたが、それが認められることはありませんでした。2007年から今まで、閉鎖している間も、固定資産税は支払われています。
”今、もし同じ施設を建設すれば、10分の1のコストで作ることができる”と多くの専門家は口にしました。オーバースペックな建設投資と、この20年の間の技術革新のことを思うと当然のことと思います。
オーシャンドームには、もう一つの問題がありました。それは”改修するにも壊すにも高コスト”という現実です。これが、閉鎖から今回の解体発表まで7年もかかった理由です。リップルウッドの再生プロジェクトで、ゴルフ場も温浴もパワーアップできたのに、オーシャンドームの抜本的解決に手がつけられなかったのは、”何をするにもコストがかかりすぎて、投資とリターンのバランスが悪い”というこの施設が持つ問題が、判断を難しくしてきました。
今回、オーシャンドームの解体が報道されていますが、シーガイアは、同時に総額100億円もの(!)大規模な投資についても発表しました。新しいステップに踏み出す大きな意思表示です。一時期はあの立地で年間100万人を超える集客を果たし、その後もずっと地元に固定資産税で貢献し続けたオーシャンドーム。ようやく幕を下ろせる日が来ました。