ごぼうのスープができました!アマノフーズのポタベジシリーズから、秋の新商品として発売されています。
美容と健康を意識する人たちが、大好きな牛蒡。実はこの根っこを食するのは日本と韓国ぐらいなのだそうです。最初に食べた人は本当に勇気あったなあ、と思うのですが、お野菜としては本当に優れもの。食物繊維の豊富さは、誰もが知るところですが、特に優れた点は、不溶性と水溶性の繊維の両方を含んでいるということです。
食物繊維といっても、ただ摂れば良いというものではありません。不溶性ばかりを摂ってしまうと、腸の中で詰まってしまいます。不溶性のリグニンが腸の動きを活発にし、水溶性のイヌリンが成分が含まれていることで、するりと腸のお掃除をする、という名コンビなのです。加えて、イヌリンは、血糖値の上昇を抑えるという性質も持っています。お食事途中でもいいですが、まず、このごぼうのスープを飲み、体を温めてから他のお食事を摂る、という食べ方もお薦めです。
さて、このごぼうのスープ。開発する上では、大変な難産でした。ごぼうに限らず、このポタベジシリーズはどれもそうなのですが、スープ部分には天然のチキンのスープストックと、野菜のピュレ(すりつぶしたもの)、それに豆乳しか使っていません。それしか・・というのは、通常のポタージュスープには、バター、牛乳、生クリーム、そして小麦粉やコーンスターチが入っています。これでとろみやコクを出しているのです。これはこれで美味しいですし、フランス料理の基本中の基本なので、お店でもこのやり方で調理されています。
でも、実は結構重いのです。乳成分の多くは、常温になると固まってきます。スープを頼んだ後、おしゃべりをしてると、なんだかドロっとして、出来立てほど美味しくなかった、という経験は多くの方がお持ちだと思うのですが、このバターや生クリームは、胃に負担をかけることにもなります。
この重さと胃への負担を避けるために、豆乳を使うのですが、生クリームや牛乳と比べると、圧倒的にコクが足りません。自宅でアイスクリームを作ってみると、その差ははっきりとわかります。生クリームをたっぷり使ったアイスクリームのふわふわ感と甘さに比べて、豆乳だけを使った場合では、デザートとしての満足感には雲泥の差があります。なので、私は自宅でアイスクリームを作るときは、生クリームとたっぷりのバニラビーンズを入れて、自分を甘やかすことにしています(笑)
コクとポタージュらしいとろみを出すことに、努力を重ねたものの、当初は本当に悲惨でした。かなり最終段階に近いサンプルがコレ
味そのものは悪くなかったので、スパスタッフに試食を頼んだところ、ダメ出しの嵐!もうあまり時間が無い~という状態になり、本業そっちのけで日々改良に取り組むことに。(会社の仕事は夜中にしました・・)色々入れてみても、しっくり来ず。あ~もうだめだあ、と思っていたときに、思い浮かんだのが”おから”です。
おからは豆乳の搾りかすですが、大豆の成分はもちろん、食物繊維も豊富に入っています。早速買ってきて、炒ってみて、さらさらのものを加えてみると、とろりといい感じの食感になりました!
この試作の間、買ってきたごぼうは100本近く。家のまわりのスーパーからごぼうが消えました。茹でたり炒めたりしているうちに、家じゅうごぼうの匂いになってしまうわ、ごぼうの食べ過ぎでお腹いっぱいになってしまうわで、まさに、ごぼう三昧な日々。
そんなプロセスを経て、誕生したこのごぼうのスープ。ちょっと難しい商品かなあ、と心配していたのですが、スパのゲストからは、圧倒的支持を得ています。あと、先日友人が感想を聞かせてくれた際、”最初はちょっと薄味すぎるかな、と思うのよ。でも、じわじわ染みてきて、食べ終わるときにはすっごく満足するし、野菜そのものを食べている!と実感するのよね。他のスープだと、一口目はいいんだけど、最後まで飲めずに残すことが多いの。毎朝、並べてどれを食べるか選ぶのが楽しみ”と話してくれました。
まさに、これこそ私が感じていたことだったので、本当に嬉しくなってしまいました。
先日、野菜の機能性表示が解禁されました。これから、野菜のもつ特徴、野菜の中でも育て方で異なる栄養価などを、商品や店頭で消費者に伝えることができるようになります。
地味だけど、実は働き者のごぼう。もちょっと人気が出るといいな。実は、今回使用しているものの、ほとんどが宮崎産です。ごぼうは土が手入れされているところほど、美味しくできます。ごぼうのミネラルは土から吸収されたものなので、土がふわふわして、ちゃんと栄養分が補給されているところが、良い産地になるわけです。宮崎で”土を育てている”ということを農家の方々から教えていただいてから、もう10年。ようやく繋がりつつあります。