歌舞伎を観に行ってきました。”中車がいいよ!”との歌舞伎通の友人の話を聞き、ギリギリでのお出かけ(明日が千穐楽)
博打好きの主人公の男を中車、その妻の役を七之助が演じていたのですが、ググッと迫るものがあって、とても良かったです。中車は、既に役者として有名な香川照之です。会社で言えば、中年になって再就職した先での大仕事のようなものですが、彼のひたむきさ、猛特訓を思わせる大熱演に、こちらも胸が熱くなりました。
私は、特に歌舞伎通という訳でもなく、友達に誘ってもらったら行く、という程度です。着物を着る機会を増やしたいので、できるだけ誘って~と頼んで声をかけてもらっています。こういう友人が居てくれるのは、本当に有難いかぎり。
実はあまり役者にも演目にも詳しくありません。こっくりしてしまう時もあります(笑)
そんな私でも、何度か足を運んでいると、”オーラ”のようなものを感じるときがあります。立ち居ふるまい、声の張り、思わず涙してもらうほどのセリフ回しの上手さ。いや~、技がすごい!と思う日もあれば、明らかに稚拙で練習不足だけど、華はすごい!と感じる日もあります。歌舞伎座はあまり大きくないので、演者の熟練も調子の良しあしも、リアルに伝わてくるのです。全身全霊で数週間演じる歌舞伎役者は、偉大だと思います。しかも、歴史ある積み重ねに、自分らしさを重ねることを期待されるという、かなり過酷な世界
こういう家業を継ぐのは、覚悟がいるだろうなあ、逃げたくなることもあるだろうなあ、と感じます。職業選択の自由とか、労働者としての保護が認められている日本で、異質な世界です。そこから解放され、自らの力で地位を確立していたにもかかわらず、難し世界に、ハンディのある立場で飛び込んだのが中車。芸能ニュース程度の情報しか持ち合わせませんが、このチャレンジで、失うものも多かったと聞きます。でも、がむしゃらにチャレンジして、素晴らしい技を披露した今日の舞台。
まさに、100年寿命時代の、複数のチャレンジを、体現している人の一人だと思いました。
ほぼ満席で、大拍手でした。時季外れの猛暑&高湿度の東京ですが、元気をもらいました!