久しぶりに母校を訪れてみて、当時何故私がこの学校に馴染めなかったのか、考えてみました。
もともと、あまり思い入れなく選んでしまった、というのが最大の理由だったと思うのですが、それでも入学してしまえば、何かは見つかると思っていました。でも、残念だけど、授業では何も見つかりませんでした。”英文学部”に意味を見出せなかったということです。小説は好き、でも、それを学んでどうする?という感じでした。英語はコミュニケーションのツールだと思ったので、千駄ヶ谷の津田英語会にはバイトした学費で通いました。でも、学校の授業は本当に辛かった。さぼった時間を潰すため、学校では、スクリプト片手に、ラボで映画を見まくっていました。何が苦痛だったかと言えば、”考える”ことを求められなかったからです。語学は決まりごとで、しかも19世紀の英文は、進化のしようがありません。本来、小説は、時代背景や作家の人生を色濃く反映するものですが、そういったアプローチもほとんどありませんでした。祖母は原文のみで読んでいたようで、帰郷した際に、英文表現について話す機会があったのは予期せぬ驚きでしたけど、思い出せるのはそのぐらいで・・・。
そんな私にとって、偶然出会ったコンサルティング会社は刺激に満ちた場所でした。確かに厳しい環境ではあったのですが、勝手に学べ、受け身でいるうちは成長できない、という文化は、私には合っていたのだと思います。コンサルタントは、プロジェクトの最初に、片っ端から関連書籍を読み、業界の環境や数字を頭に入れていきます。同期の一人が、”研修が無いのはおかしい”と問題提起し、先輩や外部の専門家を招いての勉強会や研修が始まりました。が、これも結構大変でした。中身についていけてない実態もあったのですが・・。”学校みたいでつまんない”と思わず口にしたところ、”君は学ぶことが嫌いなんだね。そんな態度なら必要な能力が身につかないよ”、と東大応物出身の彼(東大の中でも頭が良くて努力しないと行けない学部だそうです)は激怒し、その後お声がかからなくなりました。何でそんなに怒るのよ~と理解できなかったのですが、彼にとって”努力する”ということには、絶対の価値があり、会社が研修すべき、ということにも、強い信念があったのでしょう。同じ研究室出身の方々が、就職した会社でどんな研修を受けているのか調べていたようなので、学びの機会を会社が与えるのは当然だと思っていたようでした。忙しい中企画してくれたのに、無神経だった、と反省はしていますが、それでも受け身スタイルの研修が、私には不向きでした。
結局、英語は外の学校に行き、経営やマーケテイングは、自分で本を探して読み、自分であちこち聞きにいきました。その後、彼は社費派遣でビジネススクールに行き、その後別のコンサルティング会社に転職しました。私は、商品を作りたいと思って転職し、投資の世界に出合い、そして、ようやくビジネスとか世の中を俯瞰して考えたいと思うようになりました。アカデミックなアプローチに接したいと思って、自分で探してマネジメントコースを受講しにフランスに行きました。この時点では、米国以外の価値観を知りたいと思ったのです。もう少し柔軟で素直だったら、会社コースに乗れたのかもしれませんけど、この不器用さと頑固さは性分なので仕方ないです。
今、私が取り組んでいることも、長年好きで少しずつ楽しみ+学んできたことの延長線上にあります。せっせとスパに通い、ホテルに宿泊し、ハーブやナチュロパシーのワークショップを見つけては、弾丸で海外に出かけて参加する、といったスタイルをもう何十年も続けています。学びは、自己投資でしか得られません。様々な会社で研修を受けてきましたけど、記憶に残っているものはほとんどなく、今、私の中に残っているのは、自分で探し、自分で貯めた大切なお金でその機会を得て、興奮の中、夢中になってその夜にメモを残したものだけです。
”スパを仕事にし、経営をし、人とのかかわりがある”という幸せな状態は、私の学びの機会を豊かにしています。歴史、文化、哲学、生物学、植物学、医学、薬学、化粧学、美術、色彩学、音楽、それに茶道に至るまで。本を見つけては読み、著者にコンタクトを取ったり、話を聞きに行ったり、そして、現場に出かけたり、舞台を観たりとワクワクの連続です。まだまだ知りたいこと、調べたいことが山のようにあり、このワクワクは一生続くと思います。そして、気づけば、まわりにその道の専門家がいたり、一緒に連れて行ってくれる人がいたり、素敵な友人たちにも恵まれています。まさに、”求めれば与えられる”です。
一つ言えるのは、学ぶことについて、親の影響はとても大きかったと思います。学校や学歴を重視していたわけではありませんが、他の人ができることはやりなさい、その上で、何かじっくり取り組めるものを見つけなさい、という考え方でした。
私にとって、スパやウェルネスの分野は、その”じっくり取り組める”テーマなのだと思います。"SPA IN LIFE"に書いたように、ここから広がる日本への理解も多くありました。知って、学んで、そして創ることは本当に楽しい!この学びの日々は、まだまだ続きます。