スパでは、トリートメントをオールハンドで行うのが基本です。技術や接客がスパサービスの根幹にありますが、使用する粧材の選択や開発は、そのスパの個性を語る上も、とても重要な要素です。
選択する中で、メーカーさんから多くのことを学びます。研究所を持ち、最新のサイエンス情報を届けてくださるパートナーは本当に有難いです。そして、更に一歩踏み出して、オリジナルの開発をすると、更に多くの事を学ぶ機会を得ます。メディアの情報が溢れる中、今、私たちは短い一言で何かを伝えようとします。化粧品に関わる言葉で言えば、“効く””ナチュラル””オーガニック””天然””アンチエイジング”などなど。私自身も、スパのマーケテイングをする上で、明確に伝わる”一言”が欲しいと思うのですが、その一言を正確に伝えるため、最新の情報を理解する必要があると、強く感じるようになりました。
つい最近、ジョンマスターズオーガニクスの製品の原材料表示の不正が話題になりました。メーカー側は単なるミスと発表しているようですが、これもまた不誠実で、かなり悪質を言わざるを得ません。ちょうど、シャンプーとコンディショナーの開発に取り掛かっていた際、商品の質感、価格、表示されている原材料、それに雑誌で見かけるワードが合っていない気がする・・と思っていた矢先のことだったので、あまりのタイミングに驚きました。
化粧品の概要を学びたい、と友人に相談したところ、わかりやすくまとまった情報を得られるものとして薦められたのが、これ
エステティックの学校で採用している化粧品学の教科書を数種類持っていますが、情報が古く、現場ではほとんど役に立ちませんでした。が、このテキストは読みやすくわかりやすいです。読み物として面白いので、出張中の新幹線車内でテスト気分で読んでいます。ちなみに、エステティックサロン、化粧品販売の現場では、化粧品検定の2級取得が昇格試験に活用されていることが多いそうです。今や、購入する側の知識も豊富なんで、プロとして仕事するなら習得必須の内容だと思います。
商品開発する観点で、もっと専門的なことを学べる場が無いか、と探していたところ、メーカーや研究者向けの講座として紹介されたコースがあり、今月から受講しはじめました。テキストも面白く、かつ、経験豊かな方々の講義はとても参考になります。
昨夜の講義では、化粧品を社会学的に捉えるというテーマでお話がありました。
1.化粧品学は応用科学である、自然と戯れる中、植物や鉱物の活用を考えるようになった。
2.化粧はノンバーバル(非言語の)コミュニケーションである、日本で化粧が発達したのは江戸時代・近代化粧は明治になってから。この時点で日本古来のお歯黒や白塗りの化粧を捨て、西洋式の化粧に一気に切り替えた、これは近代化に進む日本の決断だった。
3.モノとしての色素や香料は自然科学の対象だが、色や匂いは人間の五感・感性・意味・社会的な価値観に関わる世界である、使う側に楽しさを伝えられない限り、物性や機能だけでは成立しない
4.白化粧の歴史の中で、鉛を含んだ有害彩色物質が長期にわたり使用された。明治時代に原則禁止になったものの、市場には1935年まで業界保護のために残された。
5.紫外線対策として、美白化粧品が溢れているものの、紫外線から受ける害と、美白成分に含まれる化学物質の兼ね合いを慎重に比較して使用方法を決める必要がある。何事にもプロコンがある、目的と視座の設定が重要
私が日ごろ悩んでいたことへの、多くの答えがありました。簡潔にまとめられた本の文章ですが、それぞれに深い洞察と経験に裏付けされています。何度も読み返して、理解したいと思いました。予習大事、復習もっと大事!