れきいよいよ今日から始まります。”西郷どん”
原作は林真理子さん。年末に書店で購入して一気読みしました。本当にこの人はうまい!今回のドラマは、脚本が中園ミホさんとのことなので、益々期待が持てます。
南九州出身者にとって、西郷さんは絶対の存在です。自分の信念を通す、権力に負けない、妥協しない、といったまっすぐな人柄に憧れる人は今でも多いと思います。その一方で、大久保利通は本当に人気が無いのですが。とはいえ、多くの人が知っているのは、西南戦争のイメージ。この本に描かれている奄美大島時代のことは、あまり知られていないように思います。
西郷さんが、何故西南戦争を起こしてしまったのか、司馬遼太郎の本にはその解がありません。どちらかと言えば、坂本龍馬寄りの作家なので、割と西郷さんについては、人間味が無く武力に訴えるのが好き、といった描かれ方をしています。歴史小説は、作家によって、また立ち位置によってがらりと変わるのは当たり前ですが、”西郷どん”を読んで、西南戦争に至る気持ちの流れが、ようやくわかるような気がしました。
さて、小説に登場する奄美大島、数年前に一度訪れたことがあります。本当に野趣あふれて自然のパワー溢れる土地でした。この辺りに広がっているのはマングローブの林。
西郷さんが住んでいたところがあるらしい、と聞いて立ち寄ったのがここ。
島の人にとって、いかに大事な出来事だったかを記した石碑。何だかとても切なくなりました。知らなかったことを申し訳なく思ったぐらい。
奄美大島と言えば、大島紬が有名ですが、この時代、すべての反物が薩摩藩に召し上げられ、黒糖と同じく搾取の対象だったようです。郷土館に行くと、それでも自分の娘に着物を着せてやりたいと思った親が生み出したのが上布であったと記されていました。上布は、植物の繊維を細く細く割いて糸のようにし、それを織って作るものです。今や超高級品として扱われるものですが、その手間の理由を旅先で初めて知りました。
奄美大島での西郷さんは、微妙な立場ではあったものの、ここでも人々に尊敬される存在だったようです。西郷さんの人柄が素晴らしいと言うことも出来ますが、奄美大島の人々の温かさとか人柄によるところも大きかったように思います。
ちなみに、私が奄美大島を訪れたきっかけは、奄美大島出身のスタッフがいたからです。大島紬の記念館に連れていってもらった時に、着る機会があるかどうか尋ねてみました。彼女が持っている大島紬は、何とおばあ様が長い年月をかけて作ってくれた振袖なのだそうです。気が遠くなるほどの手間がかかる大島紬。家族愛溢れる土地柄なのだということを改めて感じました。