とても楽しみにしていた映画、「日日是好日」を初日に観にいきました。
とにかく、樹木希林さんが良かった。映画なので、役柄とか演じる面はあるものの、お茶のある日常を淡々と描く演出なので、それぞれの役者さんの素の部分もかなり出ているように思いました。
長く生きてきた人や、経験を積んだ人は、若い世代からの ”なぜこうなんですか?”という理詰めの質問を受けることが多いと思うのですが、この映画でも、そんなシーンが随所にありました。”これはそういうものなのよ””頭で考えすぎないようにね”という言葉は、お茶をしない人にも響く言葉だったのではないかと思います。
初釜の席で、武田先生 (樹木希林さん)が、”この頃私思うんですよ。毎年こうやって同じことを出来るのって、幸せなんだなあって”。
実際には、お稽古を続けていると、日々気づくこともありますし、少しずつ学びを得てきます。毎年同じ初釜と言っても、1年目と10年目では違いがあると思います。だからこそ、同じ(に思える)ことを繰り返すって、素晴らしいことだと思うのです。
続けることの進歩という点で、わかりやすいのは、お稽古を始めて数年経ってから、新人さんが入ってくるシーンです。最初は、”歩けない”ところからスタートし、袱紗を扱えるようになって、スムーズにお茶を飲めるようになって、そして、茶事ができるようになります。自分では気づかずとも、これが時間を経ることの進歩なんだと思います。(と思って、続けてます)
多分それは、仕事でも、日常生活でも同じこと。
理屈を重視して、効率良く生活して、競争して、そしてそんな中でちょっぴり疲れてしまっている現役世代女子には、随所に心に染みる箇所や言葉満載の映画だと思いました。そんなに急がなくていいのよ、人と比べなくていいのよ、少しずつ前に進んでいるのよ、と言ってくれているような。
映画を楽しみに待っている間に、樹木希林さんが他界されました。いろんなエピソードが紹介される中、娘の也哉子さんが語った言葉、”おごらず、人と比べず、面白がって平気に生きればいい”。
武田先生は、本当に、樹木希林さんそのものだったんですね。