リトアニアに行ってきました。知人がリトアニア大使として着任することになり、いる間においでよ!と声をかけていただいたのがきっかけです。気楽なツアーになるはずが、冒頭のお茶会が私にとっては大イベント!これがメインのような旅になってしまいました。
幹事役の方が、ツアー内容を調整してくださったのですが、どうも公的機関訪問を盛り込んだらしく、”お世話になるから、何かお礼を考えて”とのメールが突然届きました。”いや、私は気楽に旅したいし、正直あまり関係ないけど”と思ったものの、この方のアレンジあっての旅なので、少しは貢献せねばと、”茶箱をもっていくので、日本の美味しいお菓子と抹茶を、大使館の方に召し上がっていただきたい”とお伝えしました。私としては、かなり上出来な返事だったと、ふ~んふ~んとご機嫌な日々が続きました。
が、しばらくたったある日、”お茶会企画ですが、すでに何十人も申し込みがあるそうです。良かったね!”とのメールが。!!!!!どうも、この方、茶箱と茶会の違い、数名にお茶を点てることと、数十名を集めることの違いがわかっていなかったようなのです。”あの~、私、初心者なので、数十名なんて無理です。この企画、無しにしてもらえませんか?”とおずおず尋ねたところ、どうも、リトアニアの方々がとっても楽しみにされていて、人数を絞るだけでも大変なぐらい大好評、とのことでした。そうなのかあ・・と思い悩む私のところに、”お茶歴は?とかお茶名は?”と質問が相次ぎ、どうも、すごいベテランを期待されているという雰囲気をひしひしと感じるようになりました。いやもう、こうなってくると、”私ごときがやっても良いのか!?”の世界です。私を追い込む事態は次々と。いや、そうは言っても、お道具が無いかもしれない。であれば、原案に戻せるかも、などと思い、お道具リストを送ってくださるようにお願いしたところ、それはそれは立派な“立礼”の写真が!
えっ、立礼なんだ(ガーン!)1回しかお稽古したことないのにーーーー!!!
あーもうこれは逃げられない、と覚悟を決め、茶会の準備を始めました。やるからにはちゃんとやらねば、とパワポ作って買い物リスト作ってオペレーション表作って、仕事より仕事っぽい。行きの飛行機の中では、教本を読みつつ袱紗で稽古。単なるアヤシイひとです。
で、当日。
バトラーさんがささーっとセットしてくれたスクリーン。バックアップ体制は万全です。私が思う、茶道についてのお話。和敬静寂の概念に続き、お茶の歴史についてのお話をしました。リトアニアは、苦難の歴史を重ねてきて、今、ようやく平和で建設的な時代を迎えています。長い歴史を持つ茶道も、明治時代や戦後の存続危機を、新しい発想で乗り越えてきました。そんな歴史から何かを感じて欲しいと思ったからです。
で、次は場所を移していよいよ立礼。空気を切り替えるために、お香を焚き、そのパッケージもお見せしました。場を変えてしまう香りの効果は素晴らしい!
プレゼンの流れを踏まえつつ、英語で手順を説明しつつ、お点前中。皆さんで干菓子と抹茶を召し上がっていただいた後は、抹茶のお菓子と冷緑茶で歓談。大使館シェフの力作です。
そして楽しいひとときが終わり、全員で写真撮影
マダムたちは本当に知的で美しく、そして温かい方たちでした。日本文化に興味を持ってくださっている方、すでにかなりお詳しい方、なんと来週(!)日本に行く予定の方など、様々。
ド緊張のお茶会でしたけど、皆さんに喜んでいただけて本当に良かった!伝えられることがあるって幸せなことです。あと、とっても印象に残ったのは、”社交””の大切さ。大使ご夫妻のお人柄が、こうやって人の輪を深めて広げていくことを実感しました。リトアニアにすごい敬意をもっておられる方で、その熱意に惹かれて、こうやって私たちもリトアニアに行き、そして素敵な方たちの出会いがあるわけで、人が人を動かして、輪になっていくんですね。
私の”茶箱持ってく”から始まった茶会でしたが、大使館のスタッフの方々の大活躍、お菓子を手持ちで日本から持ってきてくださった旅の仲間、などなど、まさに、和=harmonyで成したおもてなし。とってもいい経験になりました。