グランメゾン東京が面白い!
挫折したスターシェフが、日本で三ツ星を目指す、というストーリーなのですが、とてもリアルで、脚本も面白いです。
昨日のストーリーは、主人公が、メニュー試作にあたり、フランスから高級食材を次々に取り寄せて、フォアグラやトリュフを多用したレシピを作るものの、受け入れられず、日本の茄子を使ったプレッセにたどり着く、というもの。茄子の種類の多さを知り、産地に出向き、イメ―ジ通りの歯ざわりと水分量の原材料を探すシーンもありました(ちなみに、このレシピは、カンテサンスの岸田シェフのスペシャリテだそうです)
日本のフレンチの歴史は、真剣勝負の積み重ねです。
明治時代にフランスにわたった先人たちは、涙ぐましい努力でフレンチの基礎を習得して日本に持ち帰りました。それが皇居や一部の超高級ホテルに伝わり、その後、徐々に街中のレストランで洋食が広がります。
フランスで、ミシュランの格付けが始まってからは、日本からも修行を希望する若手シェフが海をわたりました。随分前に、フランス語の学校に通ったことがあるのですが(挫折したので、話せません・・)、夜勤明けの若手料理人が、何人も勉強に来ている姿にとっても胸打たれました。どの店に行くの?と聞いてみたところ、普通に受け入れてくれるところは無いので、紹介者を探すのに必死だ、と言ってました。働かせてもらえても無給なので、貯金もしているし、親から借金すると思う、と言ってました。
そんな時代を経て、今、パリで星を取っている店で日本人スタッフが居ない店は無い、とまで言われています。処遇が改善されたかかどうはは別にして、少なくとも、腕の良さと真面目さを評価され、スーシェフを任されている店も多くあります。
そんな人たちが帰国して、店を開き、そして、東京にもミシュランで星を獲る店が出てきました。東京にフレンチの中にも、王道フレンチで、高級食材やフランス産のものを使い続けるクラシックスタイルの店はあります。が、躍進しているのは、基礎はおさえつつ、日本ならではの素材を探求して、独自性のあるものを出すタイプのお店。そしてそれが、”なんちゃって”ではなく、きちんと世界に認められているのは、本当に素晴らしいことです。
今回、このドラマでは、そういった探求心のあるシェフの取り組みを、役者さんを通じて知ることが出来るのではないかと、とっても楽しみです。
ドラマの見どころ、もう一つ。店を出すにあたり、融資を得るのに苦労する、というシーンがあります。客単価25,000円で利益3,000円、それに稼働80%の顧客数で、利益を出し、返済する、と説明するシーンです。ワインのペアリングにして、味のわからない客のワインの質を下げ、利益を確保しろ、とオーナーから指示を受けるシーンもあります。ここまで出しちゃっていいの!?と思ってドキドキしました。
日本では、高級カテゴリーは育ちにくく、安い方に流れがちなのですが、高い価格にはそれなりの理由があり、その価格故に、並々ならぬ努力をしている人がいる、ということを、このドラマを通して知ってほしい。ノーショーなんて論外だし、前日のキャンセルも考えてしまいます。私は、事前決済でもいいと思っているぐらい。
ウィンザーホテル洞爺には、ミシュラン3つ星をとったミシェルブラスがあり、京都の美山荘がありました。その他の食事処も、一流ぞろいでした。ずっと洞爺にいたので、成績優秀者に声をかけて、連れていったことも何度かあります。また連れて行って欲しいと頼まれたとき、毎月3,000円貯金をするようにアドバイスしました。1年たてば、36,000円。グランメゾンでディナーできます。久しぶりに東京で再会したとき、実行してます!というスタッフに会い、とても嬉しくなりました。
仕事への誇り、その努力、その発想、最高峰のグランメゾンには、多くの学びがあります。