スパのセラピーでは、呼吸をとても大切にします。人間の体は、生命を守る機能としてホメオスタシスがあり、それを支えている3つの機能が、自律神経系・内分泌系・免疫系です。生きるか死ぬかの重要な機能であるにも関わらず、人間の意識で操作することが出来ません。
体調不良の際、ドクターに”自律神経失調症”という病名を付けられたことがある方もおられると思います。自立神経は人間の意識からは独立して働きます。眠っているときも、無意識状態の時でさえ、心臓は拍動し続けますし、肺は呼吸を続け、胃や腸は消化吸収を続けます。自律神経失調症、という病名は、原因がはっきりしないものの、これらの働きがうまくいっていない様子ですよ、と診断されたものです。なんとももどかしいものです。
人間の意識が働かない、と説明しましたが、その中で唯一意識を作用させられる機能があります。無意識のうちにも肺は働いてくれますが、それを意識的に行うと、その分呼吸器系は活発に機能し、より体内の細胞を元気にしてくれます。それは、動く機能を活発にするだけでなく、考えをクリアにしたり、代謝を上げてくれたり、身体全体に影響を及ぼします。
ALL THAT SPAでは、呼吸そのものを、一つのセラピーととらえ、トリートメントのスタートに必ず深い呼吸を行っていただいています。デスクワークで前かがみの姿勢を長く続けたり、スマホを手放さない生活を送っていると、知らず知らずのうちに、上半身は委縮し、呼吸は浅くなっていきます。この事が、自律神経を不活発にしてしまい、不調の原因につながります。
たかが呼吸、されど呼吸、実はとても大切な働きなのです。
人間の身体は正直で、何のご褒美もないのに、積極的に機能はしてくれません。呼吸器が活発になるのは、酸素を欲しているときか、嗅覚が作用したときです。嗅覚と大脳は、密接につながっていますので、”良い匂い””もっと嗅ぎたい”と脳が反応してくれると、もっともっと、と吸い込む機能が活発になります。
出典;アロマテラピー環境協会
鼻から吸い込んだ香りの化学物質は、大脳辺縁系を通って、自律神経系に作用していきます。
吸入された香りの分子は、一部が呼気として吐き出され、一部は血流に取り込まれます。血流は約30秒で体内を一周すると言われており、吸い込んだ香りの質は、鼻の部分だけでなく、実は全身に影響を及ぼします。
ミスト類は雑品扱いになっていますので、市場に出回っているもの中には、化学合成品も多くあります。ちょっといい香りを楽しむだけだから、肌には付けないから、と手ごろな価格のものを手にされる方もおられると思います。でも、血液にも作用する、と理解すれば少し考えが変わっていきませんか?呼吸をセラピーと捉え、上質な天然成分100%のものを選んでください。
免疫系と密接に関与している自律神経系は、日ごろ私たちがどれほど身体を大切に扱っているかで変化していきます。呼吸を意識し、身体に取り入れるものを意識し、ご自身の身体の無言の語りに耳を傾けてあげてください。