週末に許状式がありました。私がお茶のお稽古をしている裏千家では、お稽古のステップが定められており、進行に合わせて”許状”をいただきます。お稽古してもいいですよ、という”お許し”なので、許状です。お免状ではないので、試験などはありません。
この許状については、裏千家の中でおおよそのガイドラインがありますが、先生によって、お考えはかなり異なるようです。私が今お稽古している茶道会館では、大きな社中であることもあってか、年に一度許状式が行われ、弟子は年に一度申請するというやり方になっています。
申請料や御礼はきちんと熨斗袋に入れ、当日は無地紋付です。一人一人読み上げがあり、許状をいただいた後は、お祝いの茶席があり、祝膳をいただき、お祝いの古袱紗を頂戴します。
先生方や先輩方が、朝早くから準備してくださり、祝膳の時には、先生からお酒を頂戴します。9月とはいえ、まだまだ暑い日、先輩方が受付をしてくださったり、水屋でお茶を点ててくださったり、本当に頭が下がります。許状は、厳粛な雰囲気の中、理事長が一人一人名前を呼んでくださり、書状の御読み上げがあります。この日多分100名以上。。。
心づくしの式、感謝の気持ちでいっぱいになります。
と、今では、素直に感謝し、許状についてもポジティブな気持ちを持っている私ですが、以前はそうでもありませんでした。
というのは、前の先生は違う考えを持っておられたからです。裏千家主催の初心者コースがあり、そこの先生の教室に入門した時期がありました。ほぼそのコースは決まっていて、右も左もわからない状態では、違う先生を選ぶ事はかなり難しい。あまり深く考えずに入門してしまいましたが、それは大きな過ちでした。
裏千家の先生なのに、毎回お稽古では宗匠の悪口のオンパレード。そもそもとても悪口がお好きな方だったようで、裏千家の上の方のお名前を覚えてしまうほどでした。許状申請=上納金、平和を訴える海外での茶道啓蒙活動=お金の徴収マシーン、その割には茶券をやたらと引き受けてきてしまい、入門間もない私に大量に押し付ける、といった有様。その一方で、お茶席を持つことが好きな方だったので、それに必要な稽古しかつけてもらえず、入門して数年経っても、半年の入門コースでやったお稽古以外は無し。”そもそもやる必要は無いのよ!”と豪語しておられました。何より、私が心から感動した大宗匠の靖国神社での献茶式についても、”ああ、あれ、梶川さん大好きなのよね~あの方単純よね~”と話していると後から聞き、これには本当に納得いきませんでした。
それなりに真面目に通った割に、数年間一度も許状申請が無く、先のお稽古にも進まない。でも、この先生はこういうお考えなのかな?と思っていたところ、ご自身で教えておられる大学茶道部の男子生徒には、なぜか上の許状申請を進めている。弟子でもないのに。許状申請の書類を記入しておられるのを見て、”私のお稽古はこの後どうなりますか?”と伺ったところ、”あら、だってあなたやる気ないじゃない”の一言。これにはさすがにブチ切れました。
とはいえ、一度入門した稽古場はなかなか移れないのがお稽古の悩み。が、そこに新型コロナの流行があり、ご高齢のお母様と同居しておられる先生は、一気にZOOM稽古に突入。そののち、再開の見込みが無いので、希望する人は辞めても良い、との連絡がありました。これ以上のチャンスは無い!と思って退会させてもらいました。
その後、コロナの中でも、地道に茶会を続けておられる姿勢に感動して、今の社中に入れていただき、現在に至ります。
しばらくたって、許状申請のお話があった時、まだ前の先生のお話が頭に残っていて、正直あまり前向きにはなれませんでした。許状=上納金というやつですね。が、許状式のその日、ずっと感動の嵐でした。先生方も先輩方も”おめでとう”と声をかけてくださる。こちらも自ずと、お礼とお稽古頑張ります、の言葉が出てきます。前のお稽古場の影響を引きずっていて、ややヒネタ気持ちが残っていたので、自分自身の変化に大きな驚き!
という経験から、色々考えてしまいました。(というか、これを考えるためにお茶のお稽古をしていると言っても良いぐらいです)特に強く感じたのは、
人に指導する・される関係において、素直でまっすぐは必須。不満悪口を言うならば、その場にいるべきではない。
という事です。そもそも、お茶もスパも、清い気持ちを保つことを大切な価値観にしている以上、これが出来ないなら道を変えた方が良いです。
そして、これと逆のことですが、まっすぐな愛情は伝播するということです。
ねじ曲がった私の気持ちが矯正されたように(笑)真摯な気持ちに触れ続けることで、気持ちは前向きになります。
教える・教わるが軽くなってきている今だからこそ、教える姿勢を正すこと、教わる感謝の気持ちを持つことが、とても大切な気がします。
ということで、引き続き、お茶のお稽古を楽しんでいきたいと思います。