東京オリンピック2020がもうすぐ閉幕。色々ありましたけど、何とか閉会式を迎えられそうで良かった。
5月時点では、割と単純に考えていましたが、思うところはもっと多かった。
日本の新しきもの・古きもの、日本の良きもの・悪しきものをさらけ出した大会だったと思います。
新種目がいくつか採用されることは知っていましたが、サーフィンやスケートボードの種目で、若い日本人選手が活躍している姿は新鮮でした。かつてスノボで腰パン騒ぎを起こした選手のように、態度に難ありの選手が登場するのかと思いきや、堀米選手も五十嵐選手も、びっくりするほどの好青年!すでに海外でプロとして活躍し、受け答えもしっかりしていて、海外選手との間に壁がない、こういう世代が台頭したんだなあ、と大感動しました。サーフィンでにわかファンになったのですが、地上波では放映が無かったので、スマホで見つつ仕事していると、波の音がBGMみたいになって、とってもいい気分。五十嵐選手の決勝進出が決まり、ネットでは、”決勝に出るのに何で地上波が無いの?”のコメントが続くようになりました。急遽地上波での放映が決まるあたりも今っぽいです。
スケートボードパーク女子は、メダルを日本女子が独占する結果に!大技を失敗した選手を、他の選手が胴上げして励ます姿や、スカイ・ブラウン選手が通訳をかって出るあたり、とっても自然で、こういうのを”リスペクト”って言うんだろうなあ、と感心&感動しきりでした。10代の女の子たちの姿は、とっても美しかった。登場した選手たちは、すでに海外を転戦しているし、すでに大手のスポンサーを獲得しているそうで、それにもビックリ。
オリンピックと言えば、組織でガチガチにされ、選手はコチコチに緊張し、”実力を発揮できませんでした、すみません”と泣く姿が日本のパターンだと思っていたのですが、今回登場した10代選手の活躍と、独立した活動の在り方に、かなりイメージが変わりました。日本の新しき・良きものです。
一方で、根強く存在する古きもの・悪しきものももちろん山ほど。柔道や卓球のように、チーム全体の雰囲気が良く結果を出した種目から、女子サッカーや水泳、バドのように、全体が沈んでいる種目を見ると、組織や指導者がいかに大切か痛感しました。とはいえ、選手はとても頑張った!
問題は、開会式に現れた組織委員会の深い深い闇。開会式は、以前から問題が指摘され続けてきましたが、結局は、古き悪しきものを露呈させた惨めな結果に終わってしまいました。リオのパフォーマンスを見れば、新しき良きものをご披露出来た可能性もあり、これは本当に残念でなりません。大金を使って国のイメージを損なってしまいました。表に出る金額で3兆円、諸々含むと4兆円使ったと言われている今回のオリンピック、どう後片付けするかが、この国の今後を決める気がします。電通というロンダリング組織を解体させられれば可能性あり、うやむやに存続させるようなら、相当難しいと思います。
すでに、ビジネスの世界では、国という境が無くなりつつあり、グローバル人材はどこにでも行きます。グローバル人材は、お子さんをインターに入れて、これまたどこでも学べます。今回オリンピックで登場した新しき良きものは、スポーツの世界でのグローバル人材。日本から旅立つ若い世代は、ジャンルを問わず、年を追うごとに増えている印象があります。
で、問題は日本に残るもの。あーでもない、こーでもない、と利権にしがみ付いているうちに、無駄に大金を使い、何も生み出さず、どんどん国を貧しくしていっています。そして、国のプライドまでも失わせる人たち。オリンピックのスポンサーの多くは(金融機関を除いて)、グローバル企業。本来多くの権利を有していますが、開会式出席、観戦、広告とほとんどの権利を放棄しました。本来であれば、訴訟ものですが、結局訴えてもそれを払うのは税金。これではどうにもなりません。
お粗末で子供じみた組織委員会や政治家の姿勢と、トヨタの成熟した対応は対照的です。開会式の出席や広告出稿の見合わせ、名古屋市長への冷静な抗議は、これまでの日本企業には見られない凛としたものでした。いくつかの日本企業は中途半端に追随しましたが、レベルは全く違います。
ここにもまた、新しきもの・古きもの、良きもの・悪しきもを見ることができます。現実には、すでに日本での活動を諦めて、海外展開を優先している日本企業が出現しています。コロナで本当は大きな貢献ができるはずの医療機器や医療法人、それに環境対応できる素材開発企業、AIなどの分野です。自動運転も、日本では規制が多く、海外で先行させざるを得ない実情があります。これらの企業は、まさにサーフィンやスケートボードの金メダル選手のように見えます。いつか日本で活躍できる日が来ると良いのですが。
そう考えると、トヨタの忍耐力や包含力は驚異的です。新しきものと良きものを持ち、いくらでも飛び出すことができるのに、何とか古きものや悪しきものと折り合いを付けようとしているように見えます。
明日から現実に引き戻される日本社会。この4兆円プロジェクトから学ぶことはできるのでしょうか。