昨日、日本産天然精油連絡協議会が開催するセミナーがありました。11月21日(いいにおい)の日を記念しての企画だそうです。長島先生、津野田先生はじめ、理事の方々や事務局の方々のご尽力のお陰で、とても充実した一日でした。
林野庁の後援をいただいているとのことで、林野庁特用林産対策室の塚田室長からのお話もありました。この”特用林”というのは、木材以外をざっくりくくったものだそうで、きのこ、木炭、まき、はけ、漆などが全て含まれ、扱いの95%はきのこ、つまり、残り5%に、伝統工芸的なものから、樹木系の精油までが分類されてます。私はきのこ類大好きですし、お茶では炭使いますし、伝統工芸の作り手さんとのご縁もありますし、杉や黒文字の精油も使っているので、”特用林”の世界の中で生きているんだなあ、と妙に納得しました。
持続性の課題について、人工林(杉など)と天然もの(黒文字など)では、状況が異なる点など説明がありました。天然物の量と価格の調整に手間取る間に、枯渇・輸入・合成品との競争で、優位性が無くなった過去の歴史も紹介され、役所の方が明確に状況を把握しておられることにと、感銘を受けました。同時に、”樹木系のみが林野庁の管轄範囲で、それ以外は他の省庁”という気になるお話もありました。精油には、樹木系以外に、草系や花系、柑橘系があるわけですが、どうもそちらは、”農産物”になるらしいです。
ちなみに、精油の産地は林野庁・農水省、使用範囲や製造については厚労省、教育については文科省、輸出する際は経産省、観光活用は国交省、地域活性は内閣府、地域活性や耕作放棄地の情報については、各自治体、という感じです。
和精油作りに取り組んでおられる方々は、目の前の課題に正面から向き合っています。山林資源の有効活用(何もしないと山が荒れちゃう)、次世代の後継者育成(人がいないと山が荒れちゃう)、耕作放棄地の活用(過疎の地域では田畑が荒れちゃう)、豊かな恵みがあるのに、限界集落になってしまっている地域に出会い、何とかできないか、と取り組んだ結果が精油づくり、という事例が多く発表されました。SDGs、循環型社会というキーワードも、頻繁に登場しました。課題解決に役所の壁は関係無いはずなのですが、規模が大きくなって産業育成の段階に入ると、悩む方も多いようです。(補助金とか支援とか)
海外では、最初からビジネスありきで精油作りが行われ、地域によっては、資源の枯渇が大問題になっている中、日本の精油作りは、”荒れていく国土”を何とかしたいという想いから始まっているあたり、対照的です。想いからビジネスに変わる段階で(変わらないと維持できませんし)
午後のアカデミックアワーにおいては、エビデンスに基づく精油の効果の発表や、品質基準のお話、脳(認知症)に与える影響などの発表がありました。素晴らしい講師揃いで、これも事務局の取り組みに本当に感謝です。関係者の皆様、お疲れ様でした!