この数年取り組んでいたことを、来年形にすることになりました。準備が本格的にスタートする前に、お世話になっている方々のところに報告に行ってきました。
”これからこういう事をする”とご説明すると、その内容、会社を作るときに聞いた話を同じだね、と言われました。いや、進歩が無かったのかな、とギョッとしたところ、ずっと貫いているのを見て安心しましたよ、と言っていただき嬉しくなりました。
スパの世界に足を踏み入れたとき、日本の市場は、輸入超過の状態でした。コンセプトも商品も海外からやってきて、日本の足元のものはほとんど評価されず、ヨーロッパのブランド、タイのブランドと次々にオープンしては、メディアを席捲しました。当時進出してきたブランドは、もうどれも残っていません。
日本のものを使いたいと思っても、20年前には、使えるものは何もありませんでした。洞爺でスパを立ち上げたとき、北海道の精油を探しましたが、当時は合成品ばかりでどれも使えず。今はSHIROというブランドを展開しているローレルも、合成香料だらけの入浴剤などを作っていて、製造を依頼しても、天然の精油を使用したものは難しいと断られてしまいました。
アロマテラピーの先生たちに、国産精油の使用を働きかけても、”日本のものはレベルが低い””あの価格では使えない”と、受け入れてもらえず、国産精油を使用したALL THAT SPAを立ち上げた際、使って欲しいと持参すると、”随分コストの高い商品を作ったんですね”とほとんど物好きの道楽といった扱いでした。
私は、時間をかける分、自分の感覚を大切にします。海外に行き精油の産地や製造工場を見せてもらったり、展示会に参加したり、そして相変わらずスパに行き続ける中、国産精油はやっぱり素晴らしいと確信を持つようになりました。来日された、海外のアロマテラピーの大御所たちに、”これが欲しい、どうやったら手に入るのか?”と何度も言われたことも、その確信を後押ししました。
ツーリズムがより発達し、人の行き来が当たり前になると、その国らしさは何よりも重要になります。これだけの自然資産と歴史を持つ国が、借り物で展開するサービスが評価されるはずはありません。
旅人の視点で見ると、その国独自の文化や誇りを感じさせない国には、魅力を感じません。
日本の”おもてなし”と口にはしますが、何をもって”もてなし”と言うのか、立ち止まって考える必要があります。もてなしは、”以って為す”ことです。
海外から珍しいものを持ってきて展開するのは、そう難しいことではありません。一方で、足元のものを商品化するには、深い理解と正確さが求められます。だからこそ、伝統文化以外の領域で、”日本”をコンテンツ化する動きが無かったのだと思っています。
コロナは大変なことではありましたが、じっくり考える時間があり、コンテンツを作ることが出来たのは、ある意味幸運なことでした。ようやく準備が出来たので、あとは、共に活動してくれる仲間を募りたいと思います。
ウィンザーホテル洞爺にスパを作るとき、集ってくれた人に、”ここでの経験は一生の財産になる”と話をしました。
20年を経た今、同じことを伝えたいと思います。”このプロジェクトに参画した経験は、一生の財産になる”。前と違う点があるとすれば、”日本人として”という点でしょうか。まだ方向が定まっていなかった前回に比べて、今回の方向はかなり明確だと思っています。国内で活動するだけでなく、今後海外での活動を目指す方にも、得難い経験になると考えています。
来年は、良いご縁を得て、発信に転じたいと思います。近々募集を開始します。