この連休、瀬戸内を中心に美術館めぐりをしました。広島をスタートし(今回広島での鑑賞はなし)しまなみ海道→直島→倉敷とかなりダイナミックな行程です。
それぞれに充実した内容だったのですが、もっとも印象に残ったのは、直島と倉敷の大原美術館です。この2つの共通点は成功した実業家が設立したということです。
直島は、この離れ小島によくもこんなに多くの人が(しかも海外からのゲストも多し!)と驚くほどの盛況ぶり。安藤忠雄の建築でも有名ですが、著名な画家の作品を集めたというより、現代アート、身近に楽しむアートの普及に力を入れていることがよく伝わってきます。島全体の美観にも統一感があり、使いやすさと同時に、島全体を使いやすく軽やかにしていることに感銘を受けました。やっぱりデザインの力は偉大です。
一方、大原美術館は、名作ぞろいでその質の高さに圧倒されますが、興味深いのは、今では著名になった画家たちが、まだ無名に近い段階でこれらの名作を揃えている、という点です。
直島も大原美術館も、オーナーに信念があり、自分の選択眼を信じ、リスクを取ってこの事業を興したあたりに偉大さを感じます。資金が無くてはできないことですが、じゃあお金があればできるのか?というと、知性が無いとできないあたり、本当に選ばれた人にしかできない社会貢献なのでしょう。
大原美術館の成り立ちを読んでいて、ふと感じたのは、この美術館によって”大原”という名前が残ったんだな、ということです。事業には盛衰がありますから、一時代を築いた経営者も、じき忘れられていきます。政治家も同じ。でも、音楽家や画家の名前はずっと人々の記憶に残るように、美術館もまた、愛されただけ人の記憶に残ります。
直島には”福武”という名前はついていないけれど、ベネッセという名前・会社は残ってほしいものだな、と思いました。信念のあるものは支持されるし、支持されることを理解していたから、事業で成功できたんんだろうなあ・・・と作品よりも、美術館・アート事業に思いをはせた数日間でした。