富山でいろいろな薬膳を食してきました。富山というと、歴史的に薬分野とのかかわりが深く、市役所には何と”薬業課”という部署があります。今地域の経済を支えている優良企業も、もともとは薬問屋が家業のはじまり、という歴史を持っています。
そんな富山で、対照的な取り組みの2店を訪問し、お話を伺いつつお料理をいただいてきました。
まずは某老舗料亭。蠍の塩茹でと高麗人参の素揚げが登場。ううっダイレクトですね・・。ご主人は日本の食薬分離を深く嘆いておられ、”使える材料が減るたび絶望を感じる”と話されます。真冬の富山でしたが、なぜか蠍の下にはきゅうりが・・。これには何か意味があるのでしょうか?と伺ったところ、蠍を茹でるときに塩を入れすぎて塩辛くなったから味を中和したいとのことでございました。
一方で某リゾートホテルのフレンチ。地元で収穫したたっぷり旬野菜の薬膳コンソメ仕立て。シンプルに見える一品にはスープに棗・みかんの皮・生姜・丁子・ニッキの皮・ローリエ・サフラン・こぶみかんの皮、野菜は4種類の大根・平茸・葉玉ねぎ・あやめ蕪・はやと瓜・白菜・菜の花・金時草・にんじん・赤玉ねぎ・香草、野草のオイルにどくだみ・柿葉・くま笹・おおばこ・すぎな・よもぎ・くわ葉・びわ葉・玄米・ローズマリー・ミントこれに雌鶏、能登の塩、富山湾の海洋深層水、サンザシの実、松の実が入っています。美しく、お味も本当においしい!という感動の一品でした。
富山大学で、先生にお話を伺ったところ、中国や韓国の薬膳では、確かに日本では使用できない(薬に分類されている)材料が多用されているとのことです。ただし、使用する側が使い方をよく理解しているため、事故につながりにくいそうです。効き目があるものは効果が高いほど使い方にも注意が必要とのことで。富山やくぜんは、あくまでも食事として楽しめる食材や調理法を重視して考えておられるとのことでほっと一安心。
個人的には、暖かく美しい環境で、目にも美しい料理をいただく方が、カラダの中にはすすっと入っていく感じがしました。ジビ
エの足を見るだけでぞぞ~っとしてしまう私は(以前ハトの丸焼きを見て叫んで顰蹙を買ったin France)蠍を見た瞬間胃がきゅ~っと小さくなることを感じてしまい、その後食欲が一気に減退してしまいました。どれだけ体にいい、と言われても、難しい・・。やはり食事は楽しくおいしくが一番です。たとえ軟弱と言われようとも・・。