今、夏開業のスパの準備を進めています。今回のテーマは、”日本”です。
スパでもホテルでも”その土地らしさ”をとても重視します。私も日本の良さを活かしたスパを作りたい、とずっと思っていました。でもどうやって・・?レベルの高い化粧品のほとんどはヨーロッパ発です。日本の素材のすばらしさはわかってはいても、ホテルスパで使えるようなレベルにもってくるには、かなりの専門性が求められます。そして建築は?デコレーションは?
アジアスパが流行ったとき、あっという間に広がりましたが、その理由は、そのおおらかさゆえに(大雑把とも言う)導入しやすかった、という点が大きかったと思います。が、日本のコンテンツは、ある程度知識も慣れもある中、中途半端なものをホテルで提供することはできません。それよりは、異国情緒のあるものを持ってくる方が新規性もあって人気が出ます。
でも、ここ数年、色んなご縁で日本の産物や工芸品、メーカーの技術に触れ、そして海外の展示会に行ってみたり、バイヤーと話す機会を通して、日本の文化やモノ作りの評価が想像以上に高いことを知り、何とか”日本”を発信してみたいと思うようになりました。
そして今回、ようやくコンテンツが集まってきたので、私としては初めての”日本”にこだわったスパをオープンさせることにしました。とはいえ、指圧・按摩・鍼灸のみを行うわけでもなければ、バスローブの代わりに浴衣を使うわけでもありません。日本は十分にグローバル化しており、今更生活様式での”和”を出すことはやや現実的ではないように感じているからです。
むしろ、世界中で当たり前のように使われているアイテムで、日本の技術が生きているもの、日本人自身も触れてみて、その良さを再認識できるようなものに、今回はチャレンジしています。海外からのゲストがスパで体験したら、持って帰りたくなるような、日本人はちょっと誇りに思えるような、そんなサービスやアイテムです。
一つ一つ作りこんでいく中、勉強になることが本当にたくさんあります。スパは文化と融合させてこそ、心に響くものになると改めて実感します。音色一つとっても、金属の配合でいかに残響が違うか、澄んだ音とそうでない音は、どう技術が異なるのか・・などなどほとんどオタクの境地です。そのオタク道を一層邁進すべく、明日から雪の中の工房を訪問してきます。