世田谷美術館で開催されている「暮らしと美術と高島屋」展を見てきました。今、ネット通販やカテゴリーキラーの攻勢を受け、元気が無いと百貨店ですが、かつての隆盛をあますところなく紹介しています。
まず、1831年(天保2年)に創業した高島屋が、1888年(明治21年)に開かれたバルセロナ万博に出展し、海外に日本の優れた工芸を紹介しているのですが、その質の高さには感動さえ覚えます。特に、ビロード友禅という、水墨の世界を友禅で表現した作品は、品格に溢れ、今見ても全く古さを感じさせません。数多くの賞を受賞したとのことですが、きっと欧州の上流階級の人々にも高く評価され、日本という国への敬意や興味につながったことと思います。
美術、広告宣伝、出版、建築と、多岐にわたる価値創造の活動が紹介されており、その内容はどれも素晴らしいものです。百貨店で画家の展覧会を催す縁で収蔵することになった絵画も、名画ぞろいで、いかにこの時代の企画担当者が目利きであったかがわかります。
どれも素晴らしい内容であるだけに、現在の百貨店とのギャップを感じずにはいられませんでした。今、どの百貨店にいっても同じようなブランドや商品が置かれ、店員のサービスも商品知識もお粗末なのが現実です。百貨店は、競合の台頭で勢いを失ったのではなく、場所貸しになってしまったことで、自らの価値を失ってしまったのだな、と感じました。
それにしても・・。日本で生み出されたアートや工芸の素晴らしいこと!モダンな着物や帯、器の美しさに魅了されました。
この企画展を見たあと、併設されているレストランのル・ジャルダンでランチしました。”大人のお子様ランチ”というメニューで、昔懐かし”旗”がついてます。世田谷の”世”と高島屋の”高”が対になっている遊びごころ。お店でもこんな楽しさを感じたい!