「保育園落ちた日本死ね」に共感…母親たちが国会前で抗議
ネットの力を感じさせるこの動き、本物のうねりになるでしょうか。
言葉が乱暴だ、と指摘する人もいますが、冷静に要素を抑えて良く書けているブログです。受け入れやすい内容だからこそ、共感の輪が広がっているのだと思います。
その昔、女性が働くことは世の中から歓迎されることではありませんでした。私の親世代には、どれほど優秀であっても”女が学問を身に着けるとロクなことにならない”と言われて大学進学をあきらめた、企業に就職できずに結婚した、という例が当たり前でした。そんな先達たちの想いを受けて、ようやく法律ができました。(知らない20代が多いのにビックリしたので、書いておきます)
私は、雇用機会均等法2期生ですが、津田の先輩がこの法律の制定に大きく寄与されたことを、先生方が誇らしそうに話されたことを覚えています。(ただ、先輩と言っても、この時代は東大に女性が入学することが許されなかったため、津田に籍を置いたという経緯のようですが)
この法律前、わずか数年の違いでも、女性は肩身が狭かったという話を良く聞きます。”働かせていただいている”というスタンスです。お見合い場所のような企業文化の中で、本気で働く女性なんて、会社側から見れば、低賃金の便利な労働者か、ただの扱いにくいおばさんだったに違いありません。雇用機会均等法施行後も、一日で世界が変わったわけではありませんが、多くの会社で活躍する女性を見ると、やはり”法律”の力は大きかったのだと思います。
で、現状です。正直言って、安倍首相の言う、”女性活用”も”一億総活躍”も、まるでピンと来ません。今回のブログも、女性が子供を持ち働くことを歓迎しないような雰囲気なら、書かれることも無かったでしょう。でも、ここまで首相自ら”活躍”を打ち出している中、”ふざけるなー!”と声を上げたくなる気持ち、よくわかります。
さて、その活躍ですが、女性活用を打ち出したとき、何をするのかと思って見ていたら、派手なパーティの連続でした。ヒラリーさんやブレア元首相夫人を呼び、講演会やセミナーのオンパレード。某経済メディアの方に、その総予算の額を聞き、唖然としました。数年間続いていますので、相当な額に達していることでしょう。
オリンピックでの無駄もたくさんあるけれど、肝心かなめの”女性活用”で使われている予算は、保育園で悩むママや企業とは、まったく無関係の華やかな場所でじゃぶじゃぶ使われています。これを見ていると、フランス革命のときの風刺画を思い出すわけです。お声をかけていただき、一度参加しましたが、社員の復帰に真剣に悩んでいる私からすると、まるで別世界のように思い、思わず遠くを見てしまいました・・・。
出席していた某女性議員に、実情を話したところ、まるで取り合ってもらえず、(ご自身の)講演会に来てほしいの~と熱いお誘いを受けました。まあ、こんなものです。
今回の件、”保育園に落ちた”側から指摘されていますが、制度から細かく見ていくと、いかに非情なものか、もっとよくわかると思います。その手続き、その書類の多さ・・・手続きしていて、私は”この国は、女性が妊娠したら大人しく辞めろと言っているんだ”と感じました。確かに、私の友人で育休を長期で取得した人の多くは、”ずぶとくないと、手続きできない””会社とぎくしゃくするから、戻れると思わない”と口にしていましたが、ようやく理解できました。
これは、会社側が悪いわけではなく、とにかく見えないのです。先が。会社は、”何月何日に、どういった勤務形態で復帰する”ということが明確であれば、受け入れ準備を進められます。が、今の保育園事情では、それが見えない、いつ戻るかわからない、何時まで働けるかわからない、という状態では、フルタイムのバックアップスタッフを配置しておかないと、仕事になりません。この戦いは、多くの企業で繰り広げられています。
この不安定さに加えて、何せ書類が多い・・。
人事総務のベテラン社員に、”あんたのために会社があるんじゃないのよ~”と嫌味を言われ、涙した、という声は数知れず。しかも、この事例、出産までは、会社でバリバリ活躍していて、少なからず会社に貢献した!と誇りを持っている人にも降りかかります。それまで挫折が無かっただめに、ポキッと心が折れるようで、真面目な人ほど”辞めたい”と思うようです。
言葉は結構深いです。
以前施行された法律は”雇用機会均等”です。ある意味、涙ぐましい。”機会を均等に与えてほしい”という意味。それに対し、”活躍”って、ちっともリアルじゃありません。活躍って言うから、幹部育成とか派手なパーティになっちゃうのかなあ。
日本女子は、冷静で強いです。母になると、もっと強いです。大風呂敷広げなくていいから、講演もしなくていいから、とにかく保育の場所と人を確保してほしい。そしたら、女子はせっせと働いて、人口も増えて、この国は生き残れます。