大人気になったドラマ、”逃げ恥”。大河ドラマと、一話完結型(相棒とか)じゃないと続かないので、ストーリーが連続するドラマはほとんど見ないのですが、たまたま見続けたまま、ようやく最終回間近になりました。私は夜がとっても早いので、10時スタートの番組を見続けるのは、結構努力が要りました・・。
とはいえ、若者の恋愛に今更共感できるはずもなく(ちょっと悲しい)、共感するのは、周囲にいるちょっと変わってて、ちょっと悲しいキャラの人々です。中でも、リアルに感じるのは、石田ゆり子が演じる”百合ちゃん”。化粧品会社のキャリア職で、自分の立ち位置にも、部下との関係にも、恋愛にも、人生にも悩んでいる、という設定。
女性の働き方改革!なんて大袈裟に騒がれていますが、この百合ちゃんの置かれた微妙~な立場が、女性の迷いのリアルだと感じます。この原作者はとっても鋭い!
百合ちゃんは、化粧品会社のマーケ関連の管理職。美人でセンスも良し。過去にもそれなりの恋愛経験あり。部下もたくさん、収入もそれなり。普通に考えれば羨ましがられるようなキャリア女子。でも、頑張れば男性上司に疎まれ、緩くすると女子部下に突き上げられ、ちょっと厳しく注意すればパワハラと言われ、産休や育休の権利を主張する女子社員が山ほどいて、それをカバーするために休日出社をする日々。頑張っても褒めてくれる人はすでにいなくて、”あの人なんであんなに頑張るの?”と陰口をたたかれる。実は本人も少なからずそう思っている。本人はもともとそれほど頑張るつもりもなく、結婚して専業主婦になっても良かった、でもタイミングを失っているうちに、同期からは”私たちの希望の星”なんて言われてしまう。でも、そう言う同期には素敵な旦那様と可愛い子供。
今の日本の会社で見る、女性管理職は、まさにこの百合ちゃんタイプ。ガツガツタイプは、もっと早くに消えてしまい(多分退職している)、管理職になっているのは、調整型で丸く収めるのが上手なタイプ。本人は真面目なので、それを周囲が望むならと、責任感をもって頑張ってしまう。でも、すご~く出世したいとか、成し遂げたいことがあるわけではなくて、小さな幸せで十分、むしろ一人の老後の方がよっぽど心配。小さな幸せを求めて恋愛もしたいけど、寄ってくるのは”都合のいい女”を求める不倫目当ての男ばかり。
日本のキャリア女子は、専業主婦世代の長年の想いを背負って誕生しました。フルタイムで仕事をしようと思えば家庭を諦めざるをえなかったり、仕事と結婚は両立できても、子供を諦めたりした時代。そこまでの勇気が無くて結婚を選んだ人の多くが、男尊女卑文化の結婚生活に耐え、自分の夢をわが子に託して数十年。でも、それで手に入れた素敵な服やバッグなどのブランド品は輝きを失い、結婚する=女の終わりというライフスタイルも大きく様変わりして、お洒落ママがメディアの主役になりました。ひっつ目髪+赤ちゃんおんぶ→ゆるふわパーマ+巨大バギーはその変化の象徴です。
このテーマをメインに据えると、あまりにディープになってしまうだけに、サブの扱いの方が程よく胸に染みます。メイン二人の展開は、何となく予想がつくだけに、百合ちゃんのこれからに興味大の私です。