昨日のトップニュース、安室奈美恵の引退発表!
このニュースを聞いて、ふと、マドンナを思い出しました。20年ほど前に、ヨーロッパでブランドマネジメントの研修に参加した折、ディスカッションのテーマが”マドンナは今後どうするべきか?”というものだったからです。当時、マドンナの勢いは圧倒的で、何をしても世界中の関心を集める存在でした。が、今後5年10年考えたとき、歌や踊り、そして刺激的なファッションを続けられるとは思われておらず、そのブランド価値を保つために、どういう選択が良いのか?という趣旨からテーマ設定になったのだと思います。参加者は、ファッション関係者、小売業(セレクトショップ系)、ジャーナリスト(ややエッジのたった雑誌)、レストラン・クラブオーナー、ミュージシャン、といた面々です。
様々な意見が出ました。引退、財団設立+チャリティ、プロデューサー、現役続行、といった幅です。結局、選択肢としては、どの程度の活動レベルや露出にするのか、今のイメージをどこまで残すのか、といった点に集約されます。ダイアナ妃の影響もあり、チャリティ活動は候補に挙がりましたが、それまでの彼女の行動やイメージを感上げると、偽善イメージに繋がる可能性があるとの意見が多く、結局、プロデューサーという着地点になりました。ショービジネスに身を置きつつ、影響力を保てるいいオプションだろうとの意見によるものです。
現役続行については、多くの人が”最悪のシナリオ”と表現しました。あの芸風を50歳、60歳になってもやるの?あり得ない!やったら醜悪よ!と言う辛辣な意見まで。人を攻撃したりパートナーを変えるようなスタイルは、若い頃なら許されても、年齢を重ねてそれをやったら、単なるおかしな人、という意見まで。つまり、ブランドマネジメントの観点からは、スタイルを変えないことはブランド価値を棄損する、と参加者の誰もが考えた、ということです。そしてなんと今、マドンナは、この”最悪のシナリオ”に突き進んだのは、誰もが知る通り。
実は、私が出した意見が、”完全引退”でした。日本には、女優や女性歌手にそういう事例がある、と説明しましたが、”え~、それは無い!”と言う反論続出でした。引退というスタイルがどうの、ということではなく、”スター”という人種はそういうものではない、という考えに基づいているようでした。注目を浴びたいという一種の病気だし、それがあるから実際になれるのが”スター”あなた、わかってないわね~とコテンパンだったのです。あとは、引退というイメージが、山奥に引っ込むとか、ガーデニングするとか、つまり”やることが無い退屈な暮らし”を意味しているらしい、ということも理解できました。チャリティは、そういう人のためにある、という意見もあり、なるほど、と思ったものです。
といったやりとりを思い出しつつ、今回のアムロちゃんの引退、本当にかっこいいいなあ、と思いました。そして、ブランドマネジメントの観点で言えば、これで彼女は伝説になります。すでにアジアを中心に海外での知名度も高い彼女、その生き方が大きな影響を与えることでしょう。
それにしても、40歳にしてあのパフォーマンス!どれほどの努力を重ねてきたのかと思うと、それだけでも何だかじんときます。”わたしらしく”の言葉が、これほど心に響いたことはありませんでした。ここから1年、どういう道を示すのか、大注目です。