新型コロナウィルスの拡大が続いています。昨日、WHOがパンデミックの状態にあると言及しました。
一方で、発生源である中国では、収束宣言が出て武漢の工場生産再開の報道がありました。台湾・香港・シンガポールでは早期に抑え込みに成功しており、マカオなどはほとんど発症無し。しかしながら、”先進国”である欧米では、ここにきて医療体制の脆弱さが露呈しています。同じ条件下に置かれても、対応力で結果が異なるという事例を目の当たりにしています。そういう意味では、日本は、本当に判断力も運営力も低下したんだな、と暗い気持ちになります。
この日本の封じ込め失敗により、多くのイベントが自粛になり、旅行業、飲食業、医療、販売など、ほぼすべての業種に大きな影響が出ています。本来、日本の高価格帯市場は、インバウンドよりも日本人の消費で成り立っていたのに、行動自粛でこの消費が大きなダメージを受けています。今後、インバウンド消費と国内消費のバランスをどう見るか、きちんと検証して次につなげて欲しいと思います。
と、マクロでみると、”大きなダメージ”なのですが、ミクロでみると、そうでもない現象が起きています。
レストランの客足が落ちて大変!という報道を見て、慌てて馴染みのイタリアンのお店に電話してみました。このところ、予約がいっぱいで席が取れなかったので、”今なら席が空いているだろう”と営業支援のつもりで予約を試みました。が!”すみません、満席なんです”の答え。嬉しいような悲しいような。
同じような話を周囲ではよく耳にします。3つ星フレンチ、満席。人気のすし屋、ようやく席を確保。友人たちのFBの投稿を見ていると、実は人気店の客足は落ちていません。それから、もう一つの流れは、若手の料理人が新たに立ち上げて、まだ固定客が安定してない店の場合、”みんなで支えよう”のメッセージが回ってくるようになりました。これは、”信頼消費”なんだな、と感じます。あの店なら衛生管理がしっかりしているから安心+客層が良く、そもそもお客自身の健康管理がしっかりしているから大丈夫、などなど。
今、フィットネスクラブがクラスターの一つの場所になっている、と指摘がありますが、当社がお世話になっている二子玉川のアクアさんは、空間ゆったり、清掃しっかり、空調しっかり、そして、メンバーさんの健康意識が高く、若い世代よりずっと元気。私より免疫力高そうです・・。こういう施設は問題無いのに、と残念に思います。
国の対応結果にも開きがあるように、個々の施設も、判断力と対応力で結果が異なる以上、一律の自粛継続はどうなのか?とそろそろ見直しをすべきではないかと思います。
スパやマッサージの場合、そもそも店舗ごとの運営基準はまちまちです。
当社のスパの場合、営業前に、手が触れるところすべてを除菌機能があるもので拭き上げます。施術に入る前も、セラピストは両手をエタノール除菌。そして、標準的なトリートメント前には、アロマミストを噴霧します。これは、もともと深呼吸用に作っているBreathing Mistですが、これも結果的には、抗ウィルス効果につながります。国産精油+サトウキビから蒸留したエタノール+精製水でできています。そして、すべてのリネン類を、ゲスト毎に交換します。これらは、もともとホテルスパの衛生管理のグローバルスタンダードです。
スパの場合、衛生管理にとても気を使います。もともとアロマテラピーが、ヨーロッパの感染症予防の歴史と関わりがあることと、90年代のスパブームがアジアで始まったため、湿気が多く菌類が多い地域での衛生管理にルールが必要だったためです。
当然コストはかかります。リネン類をすべて交換すること、清掃に一定の時間をかけることに、難色を示すホテルもあると聞きます。オンコールスタッフだらけのチームでは、こういった地道で基礎的な運営管理を続けることは不可能です。街中のマッサージサロンは、リネン交換をするのではなく、不織布を上にのせて交換するだけのところが大半ですが、下にある交換しないリネンには、当然ウィルスや菌が残ります。店によっては、不織布すらのせず、タオルを干して再利用する事例もあります。”マッサージ店”とひとくくりで表現しますが、本当に運営方法はまちまちなのです。業態での判断ではなく、その店が本当に清潔で心地よいか、という視点で選ぶ必要があります。
ダメージの大きい、今回の新型コロナウィルスですが、自分たちの運営や、顧客との信頼関係を考える上では、良い学びになったと思っています。
”迷ったけど、やっぱり来て良かった!”のお声をいただくたび、その期待に一層応えたい、と気持ちを新たにしました。