コロナウィルスの拡大が止まらない、と日々報道される中、すでにいくつかの検証が出てきています。
公には数字が出てきませんが、台湾が封じ込めに大成功したのは明らか。韓国もかなり封じ込めに成功。ヨーロッパでは、ドイツは手堅く抑えている一方で、イタリア・スペイン・英国は大失敗。米国の被害は甚大。
拡大につれ、ウィルスが変異して、アジアとヨーロッパとの単純比較は出来ないとの声もありますが、同じヨーロッパ内でも違いが顕著なことを考えると、それまでの政治やリーダーの対応といった人災の面も多くあると感じます。
これまでのブログにも書きましたが、コロナウィルス発症において、日本はとても優位なポジションにありました。そもそも衛生観念の強い社会、強固な医療システム、社会保障、技術開発力、いざとなれば、国内製造が可能なモノづくりの力。そして、財力。
しかしながら、昨年末から現在に至るまで、無策を重ね、その優位はすでに水疱に帰しています。非常事態宣言なるものが4月8日に発令されましたが、愚策は続く一方です。
例えば、マスク問題。布マスク2枚を送付する、という施策が発表されたとき、これ自体にも疑問の声が多く挙がりましたが、費用466億円となれば、話は別です。アイリスオーヤマが、マスク工場を新設し、月間6000万枚製造すると発表されました。工場の設備投資は10億円です。この工場を20軒建てれば、月間12億枚製造できます。国民ひとりあたり月に12枚。さすがに十分ではないでしょうか?それで総費用は200億円です。アイリスオーヤマの工場に対して、国は2/3を助成する制度を設けましたが、それでも、3~4億円は持ち出しになり、かつ、この助成金、交付されるのは、来年の3月です。大手以外は手を出せなくて当たり前です。もしこれを、事業計画と着工予定が明確であれば、全額すぐに出す、という政策であれば、多くの会社が参画し、マスク不足は1か月もあれば解消した可能性があります。
東京では、非常事態宣言が出され、百貨店も駅ビルも、4月8日に閉店との発表をし、一気に街はその準備に動きました。が、その後から、百貨店が営業しないのはけしからん!とか、理美容は必要不可欠とか、グズグズが続き、腰砕けの様子になりました。百貨店の営業については、大物国会議員の“オレの弁当はどうなる!?”議員の奥様方の”下着が変えなくて困る”とのクレームから、百貨店幹部が役所に呼び出されて、”生活者の視点がない”とのお叱りを受けた、というのが経緯のようです。もともと、一部百貨店は、食品売り場は営業継続を発表していましたので、お怒りの国会議員のセンセイは、それも知らず、ただ、ご自身が使っておられた百貨店が、たまたま全館休業になっていたため、こういう展開になったようです。幹部の方々、お気の毒です。西村担当大臣が、記者会見で”下着”と言及されたので、かなり違和感があったのですが、こういう背景があったようです。その後、下着売り場が営業再開になったかどうかは知りません。そして、繰り返し、政治家同士の綱引きのドタバタが報道される結果となりました。
コロナの被害は、確かに甚大ですが、それでも世界は動いています。すでに乗り切った台湾は、ほぼ通常通りの生活に戻っています。発信源の中国では、オンライン教育、自動運転、顔認証システムの一層の強化が進んでいますし、株価が大幅に下落した欧州のブランド企業の買収が加速しています。今は、大底の米国ですが、抗体治療を早期に取り入れ、罹患していないと証明された人から、経済活動に早期に戻す準備が進んでいます。人類は学ぶし、何事にも良い面と悪い面がある、という原理がここでも見られます。
ただし、それは、適切な判断があってのこと。優位にあったはずの日本は、今やコロナウィルスのリスクが最も高い国の一つと見られ、収束の可能性も低いと判断されつつあります。下落気味であったものが、ここ数日で、更に劇的に下がり始めました。
早期に回復し、一気に経済回復が実現する、というシナリオは期待できなくなりました。安倍首相は、日本を潰した首相として歴史に名を残すだけで済みますが、国民は、その被害に耐えていかなくてはなりません。アベノマスクと揶揄されて、ご立腹とのことですが、怒りたいのも泣きたいのもこっちです。
2020年、山のように夢がある年になるはずでした。東京オリンピック、観光業、日本の食の発信、そのすべてをダメにした首相。リーダーで国の未来がこんなにも変わってしまうことを、忘れてはいけません。