今や、書店でも手に入らないほどの大人気、カミュの「ペスト」
以前読んだと思うのですがのですが、ほとんど記憶に残っていなかったので、読み返してみました。
単なる、感染したある街の物語、というのではなく、本当に深い。そして、コロナウィルスの影響下にある今だからこそ、わかることがある、と感じました。
アロマテラピーでも、必ずペストの事は勉強します。感染症と薬草や精油は関わりが深いとされているためです。ただ、それは「過去の話」として1時間ほどの講義を受けるのが通常です。21世紀にまさか、こんな事態になるとは。
感染症の本には、「とても恐ろしい歴史」として登場するペストですが、カミュのこの本には、恐ろしい描写というより、意外なほど、普通の日常が描かれています。
とても印象に残るのは、ぺストが広がっていると、街中の人が認識していても、商売を続ける人が多かったり、カフェでの寛ぎを諦めないシーンが出てくることです。その後、益々感染者が増え、街は閉鎖されてしまいます。窮屈さやストレスから逃れたいと、何とか街を脱出したいと望むひとたち。
技術で、その時の感染症を乗り越えることは出来ても、人間として進歩することは難しいんだな、と妙に納得してしまいました。