ドラマの「スーツ」にハマってます。(今さらですが)日本版もフジテレビで放映されていましたが、米国版は本当に面白い!ストーリー展開やディテールが、とってもリアルだと思いました。いいスーツを着ろ(1着150万円ぐらい)とか、その細いネクタイは何なんだ!?といったあたり、爆笑しました。上司役のハーヴィーのスーツ、日本で来ている人がいたら、まずはこういった外資系の法律事務所か投資銀行の人ぐらいしかいません。(かなり浮きます)
ハーバードのロースクールしか採用しない、とか、在籍中の成績が、AかAプラスだったが、大問題になるあたりも、とってもそれっぽいです。で、これもまたまた今さらですが、お騒がせのメーガン・マークルを発見。ドラマの中では、とってもいい役。米国人が、入れ込んでしまうのも、何となくわかります。
このドラマ、とっても脚本がいいだけに、日本版はかなり厳しいだろうなあ、と思いました。米国流の階級社会や、独特のシステムが、とってもリアルに描かれていて、こういったディテールは日本には存在しないので。
ドラマの軸になっているのは、”師弟関係””忠誠””ファミリー”といった、日本では死語になっているような言葉です。米国は転職しまくりだと思われがちですが、実はそうでもありません。コンサルティングファーム、メーカー、プライベートエクイティと、異なる業種で仕事しましたが、思った以上に人間関係は密でしたし、長く勤務なさる方が多かった印象があります。
そういう意味で、このドラマで描かれている会社の仕組みや人間模様は、プロフェッショナルファームと呼ばれる会社のリアルだと思います。まず、アソシエイトと呼ばれるペーペーで入社した後、徹底的に先輩にしごかれます。多少の自信を持って入社した人ばかりですから、バカのゴミのと言われて、深夜まで働くと、たいていは落ち込みます。美味しい転職話もやってきます。この主人公も、気持ちが揺れるたび、上司にグズります。
弁護士は、経験を積まないと一流になれませんから、とにかく多くのものを見て、学んで、盗むセンスがいります。黙っていて教えてもらえるほど甘くはないので、上司のお気に入りでないと、そもそも学ぶ場に座らせてももらえません。24時間365日、仕事の繰り返しです。しばしば、シニアパートナーになった人たちが、自分のアソシエイト時代を振り返り、”こんな時間に事務所を後にするなんてありえなかったよなあ”とつぶやくシーンがありますが、これもとってもリアル。
昇進して、ポジションが進んでいくと、派閥問題があり、信頼や裏切りといったシーンが展開されます。都度美味しい話を求めて、あちこち転職ばかりを繰り返した人は、肝心かなめの場面で、信頼されません。”また辞めるわよ、また逃げるわよ”という冷静なトップマネジメントのセリフが度々出てきます。一方で、多少は不器用で、真っ正直であるが故に、人とぶつかるキャラは、”でも、彼は裏切らない”との言葉とともに、だんだん会社の中核に上がっていきます。
”色んな経験をしたい”と会社を転々とする人も増えていますが、実は、同じ組織にいて、レベルを上げていく方が、”色んな経験”はできます。青い鳥を探して、他の組織に移っても、結局は同じような仕事を続けていて、また転職を考えるアソシエイトが登場します。何気ないけれど、結構深いシーンだな、と思って見てました。
というわけで、思った以上に深いこのドラマ、自粛中に見つけた楽しみになってます。