もうすぐ北京オリンピックが始まります。
早くも話題になっているのが、選手村のベッド。”大きくて電動で、ふかふか。東京オリンピックのような段ボールじゃなくて良かった”という投稿が日本では物議をかもしています。
日本の段ボールベッド、画像はこちら。
段ボールは、その後廃棄しやすくエコ対応で耐久性はある、マットはエアウェーブで体に良いよ、と組織委員会は主張していました。が、この写真を見て、がっかりした人も多かったのではないでしょうか。自分が宿泊するホテルに、このベッドが入っていたら・・・、はっきり言って気分は下がります。エアウェーブも、人によって合う合わないがあるので、本当に固くて眠れなかったという選手も実際には居たと思います。
エコ対応とはいえ、実際には相当経費がかかり、汎用品のベッドとリネンを入れた方が、コストは数分の一になったとの話を、関係者から聞いたことがあります。
そう考えると、コストはかかる、ゲストは喜ばない、という納品業社以外は喜ばないことをしてしまう、それが東京オリンピックでの”おもてなし”でした。東京オリンピックで終わらず、こうやって先々のオリンピックでも笑いものになる事を思うと、開会式だけでなく、本当に日本のイメージダウンに大きく寄与してくれた大会でした。おもてなし=以って為すの意味もあるので、相手が喜んでくれなければ、単なる自己都合&自己満足です。
今年の年明け、茶道各流派の初釜式の様子が報道されました。
これは、裏千家での初釜の様子。珍しくも立礼です。茶道といえば、座敷に正座している様子が一般的ですので、もっとも正式な場である初釜で、立礼はちょっと意外でした。感染対策、お越しになる方の体調など配慮なさっての事だったのでしょう。
さて、この立礼。略式ではなく、正式な作法です。江戸時代から明治時代に入り、様々な文化様式が見直されました。皇室が正装を洋服に変えたのも、この時期ですし、化粧では、お歯黒が禁止されました。外国人から見て、”野蛮人”に見えないよう、様々なお触れが立て続けに出ています。
そんな中、海外からの要人を迎えて茶会が開催される事になりました。今でもそうですが、椅子での生活が長い方は、正座が出来ません。いくら日本で正式な作法とは言っても、外国人に正座を求めるのは酷なことです。が、多くの茶人は、様式を変えようとはしませんでした。
この立礼式は、裏千家11代の、玄々斎が考案したものです。椅子と机を組み合わせ、茶道本来の点前は崩さないように工夫されています。茶会に招待された海外要人は、大変喜ばれたとのことです。その後、棚の種類は色々考案されていますが、エリザベス女王やダイアナ妃をお迎えした際も、この立礼式で茶会が開かれています。
いくら良かれと思っても、相手が不慣れなものを押し付けては何にもならない。相手あっての”もてなし”だと実感します。