昨日から新年度で、新入社員が入られた会社も多かったと思います。ウェルネス・アリーナも、この春3名の新しい仲間を迎えました。通常スパやホテルなどオペレーションを持っている会社は、開業時に大半が入社しますが、追加での採用や新店舗の準備スタッフなど、一年中採用は動いています。そういう意味から言うと、タイミングよく新年度にスタッフが参加するのは珍しいのかもしれません。
会社を設立したときには、店舗のオペレーションを手掛けるかどうか随分悩みました。やりがいはあるものの、多くの人を育てなくてはならないこと、その教育には終わりが無いことをある程度理解していたからです。洞爺で初めてのスパのオペレーションに関与することになったのも、やや”成り行き”という面が強かったため、頑張ってはみたものの、勉強不足・準備不足で、十分な体制が組めたかどうかには、色んな悔いが残りました。
今回、オペレーションを手掛けることが本決まりになったとき、それならばと覚悟を決めて、自分なりに考えたことがありました。それは、きちんとした形で社員を雇用することと、きっちり人事評価を行うことの2つです。一般の大手企業では当たり前のこれらのことが、残念ながらエステやスパの業界では一部でしか行われていません。アルバイト雇用が多く、保険がつかないのは当たり前。研修中は研修費を徴収するところも少なくありません。きちんとした雇用を行うところがあったとしても、評価の基準は売上実績が大半で、ノルマ制を導入するのが基本です。ホテルスパはさすがにこれは少数派ですが、逆にホテルからの担当者が幹部になってしまい、いつまでたっても上に上がれない、との不満の声も聞かれます。ホテル側にとってもスパ部門の扱いに手を焼いているところは少なくないようで、雇用する側・される側の両方からの相談がかなり多く寄せられています。
実際、評価はそれ自体かなり手もかかり難しいものだと思います。私自身、数社所属しましたが、こちらも納得のいく評価を受けたのは一部しかありませんでした。おざなりの評価表に”形式だけだからサインしといて”と渡されたことも1度や2度ではありません。100%納得していたのは、私の1つ目の会社であるボストン・コンサルティング・グループでした。厳しい評価を受けることが多かったのですが、あまりに的を得た指摘に反論の余地はなく、逆にきっちり指摘を受けたことが、その後真摯に努力する、ということにつながったと思い、今でも深く感謝しています。評価は、もちろんいいに越したことはありませんが、どういうプロセスや基準で評価を受けたのかによって、厳しい評価が次につながる、ということを身をもって体験しました。
今回の評価の実施にあたり、ホテルスパの現場に即した基準の設定や処遇の仕組みとの整合性を作ることなど、半年以上かけて考えました。開業後のばたばたから、安定した後のコミュニケーションや集客など、店のステージによって、異なるスキルが必要ですし、ロケーションの違いも加味しないといけません。ホテルスパの場合、幹部には多くのホテルとの調整業務能力が求められますし、接客レベルもホテル並みそれ以上のものが必要です。技術だけでいい、売上さえ上げればいい、という基準では、ホテルという場の中で、どうしても合わない部分が出てきてしまうので、既存のエステサロンの評価基準はあまり参考にならないと思っています。
一次評価、二次評価によって複数の人間が評価すること、実技・事務業務・接客・トレーニング意欲など、多面的に評価することなどを念頭に置きました。全員との面接や実技試験の実施は、かなり体力を必要とし、う~ん、結構しんどい、と思ったこともありましたが(次回はもうちょっと時期を長めに取りたいと思います)ようやく一連の評価を終えました。
で、今度は書面化の作業が残っており、これも最後までバタバタでした。年度末に重なり、プロジェクトの山とも重なりで、かつ、表現に悩みで、結局ここ数日は終日黙々とパソコンに向うことになりました。とても頼りになる社労士の先生にアドバイスをお願いしていますが、あまりにギリギリだったので、”もっと早く実施してください”とのお叱りも受けつつ、ようやく終了です。
こちらも嬉しくなるほど、良い評価を伝えられるスタッフもいれば、課題山積み、というスタッフもいます。厳しいことを伝えるとき程、その内容が正確であるように、何度も確認し手間も数倍かけました。評価をする側がされる側より悩み手間をかけてこそ、評価は本物になる、という思いがあるので、本当に今回はへとへとになるほど頑張りました。とはいえ、受け手は受け手。どこまで伝わるかはわかりませんが、それぞれの目標に向って春の1日をスタートしてくれればと思っています。