ルーシー・リー展に行ってきました。雑誌や街中のポスターでプロモーション中なので、目にされた方も多いと思います。最近、陶器それも釉薬(うわぐすりのこと)にとても興味があったので、ぜひ見にいきたいと思っていました。
陶器は西洋と東洋の文化が絶えず交じり合って発展してきました。ロイヤルコペンハーゲンの図柄は東洋的なものですし、ちょっとジャンルは違えど、ヨーロッパでは南部鉄器が大変人気があり、優雅なティータイムには、洋食器とコーディネートされて、ティーポットとして登場したりします。
ルーシー・リーの作品は、優美な曲線が東洋的(私にはやや韓国的に思えます)な形に絶妙な釉薬で味つけされています。この作品展の前は、全く知らない作家だったのですが、どういう人がこの素敵な形状や色を生み出すのだろうか、と興味を持ちました。
展覧会に行ってみて、彼女の人生やその折々の作品を見ると、一層の共感を持てました。彼女は、自分自身の人生と向き合いながら、試行錯誤を続け、で日常の生活を大切にしていたようです。裕福な家庭に生まれた後、陶芸家を志、その後離婚。自分で生計を立てる中、戦時中はボタンを制作し収入を得ていた時期もあり、このことで釉薬の面白さに目覚めます。若いパートナー(あくまで仕事上の)と出会い、様々な人々の精神的な助けを得ながら、自分のスタイルを見出していきます。
彼女の部屋や制作中の写真を見ると、とてもきっちりしていて優雅なたたずまい、訪問してきたゲストを自作のティーセットでもてなしていたといいます。(うらやましい!)そんな美意識がショップにも伝わっており、ルーシー・リーが好きだったお茶、ビスケットなども並び、とてもほのぼのした雰囲気。
コツコツ自分のスタイルを作り上げ、90過ぎまで生きた彼女。元祖優雅なおひとりさまと言えるでしょう。会期中、また何度か足を運ぶつもりです。