スパの運営を始めてみると、思いもよらないものが揃わない・・と驚くことがありました。その代表格はユニフォームです。これは意外に思われる方が多いと思います。私もそうでした。
ウィンザーでスパを立ち上げたとき、まず私が初めてであることと、ホテル全体の開業をしかも北海道の洞爺で行うということで、カタログがすべては揃わないのだと思っていました。なので、多少の妥協は仕方ない、と思って数点選んだのですが、いつもは大人しいスパのスタッフたちが、顔を真っ赤にしてやってくるのです。”梶川さん、これ太ってみえます!”(いやあ、正直言って体型そのままなんだけど・・)”これじゃまるで居酒屋です!”では、ということで、エステティックのユニフォームを選ぶと(これは豊富にあります)、”これじゃまるでエステじゃないですか!?”(いや・・そうなんだけど)”こんなミニスカートじゃあ動けません”(それは確かにそうです・・)
で、開業前の死ぬほど忙しい時期に札幌まで出かけて洋服屋さんをウロウロ。今度は”数が揃わない”ことが問題でした。当時20名ほどいて、替えも入れると50~60は必要です。しかもこまごましたサイズ別。これは無理、となり、結局ボトムスはユニクロで取り寄せてもらって揃えました。当時のユニクロは今ほどにはデザインが洗練されていなかったこともあり、若干パンツも太目。ダンボールが届いた瞬間・・今度は号泣されました・・。で、最後は私がブチ切れる、という悪夢のような日々。
で、それから数年がたち、今度は軽井沢。さすがに今度は楽勝だ!と思ってカタログを取り寄せたところ・・ナイ・・。で結局はあまり進歩がなく、トップスは高い業務用から探し、パンツはGAP(これはちょっと進歩かも)でも、このパンツ、ストレッチコットンだったのですが、縮む縮む。1か月もたつと、ちょっとふっくら目のスタッフはパンツ(下着の)が見えてしまうようになりました。
スパ(特にホテル)のユニフォームは、ある程度きちんと感が無くてはなりませんし、動きやすさはもちろん必要。そして何よりスタッフの気持ちを考えると、”美人さん”に見えなくてはなりません。確かにこれは意外と難しい条件がそろっているのです。トップスのラインが特に難しいものです。ゆとりがないと動きにくい。ゆとりがありすぎるとだらしない(かつ、体を傾けてユニフォームの布地がゲストに触れるのは避けなければなりません)、でもエプロンを着けるのは失礼にあたるので嫌。と色々考えると、本当に解が無く、原型を作るまで、毎日絵を描いていました。
ああもうっ!!と仕方がないので、急きょ知り合いのアパレル関係の知人に連絡して、オリジナルを作ることに。もうこうなってくると、すべての要件が見えていたので、打ち合わせの席上でデザイン画を書き、それをパターンに起こしてもらうことになりました。そしてできたのが現在のユニフォームです。これにてようやく落ち着きました。ふ~う。
そしてまた数か月が流れ、今度はコンサル先。”梶川さん、先生(トレーナーのこと)のユニフォームを譲っていただきたいのですが・・”との相次ぐ依頼。やはり探すと無い、あれはとても動きやすそうでしかも痩せて見える(これはとても重要な点なのです)でも、うちも必要数しか作っておらず、それほど在庫も無い、ということでお断りしていました。
そんなこんなから数年。いろんな経由で話が伝わり、ユニフォーム制作大手企業の住商モンブランで作っていただけることになりました。やった~!では・・、とまたまた山のように要望を出し、素材の改良、サイズバリエーション、カラーバリエーションに対応していただけることになりました。今回は東洋紡さんが布地を作ってくださったので、通気性もバツグンです。もちろんシワになりにくく、速乾性もあります。1枚から購入できます。
2月上旬には展示会が行われ、その後全国発売になります。良かった~。これで私もまず自社のユニフォームを心配しなくて済みますし、”分けてもらえませんか?”の要望にも対応できます。スパのゲストから”部屋着に買いたい”との要望まであったこのユニフォーム。動きやすいですよ、何せ素材はスポーツウエァと同等のものですから。
セラピストは優雅なアスリートである、との考えで作りました。多くのセラピストたちに着てもらい、少しでも楽しくお仕事してもらえれば・・と願っています。