Twitter やSNSが脚光を浴びる中、グルーポンどうでしょう?うちもそろそろTwitter を考えているのですが、と企画を持ちかけられることがあります。積極的なことは良いことなので、一緒に検討させてください、とお答えします。
でも、私がふと首をかしげてしまうのは、一方的に企業側に都合の良いことなんて起きない(特にネットの世界では)ということを、この人たちはどの程度わかっているのかしら?ということです。
広告は、企業がお金を払って、一方的に”叫び続けている”行為です。お金を払うから、TVでもアウトドアでも、人々の接触率が高いところを確保することができ、一定時間・期間、好きなことを話させてもらえます。だから対価は高いです。よくネットを単なる安価なメディアだと勘違いしている方がおられるのですが、これは大きな勘違いであり、下手すると大やけどをします。
双方向である、消費者が情報発信できる、というメディアの出現は、とても良いものを誠心誠意作っている、提供している、でも規模や資金がないので、うまく伝えることができません、というこだわりのサービスや会社にとっては、魔法のようなツールです。で、こういった会社は、これまでも、電話やFAX,お手紙といった伝統的なツールで、良好な関係を顧客との間には築いている、ということが多いです。
顧客が情報発信することを勧め、またそのネットワークを活用させてもらう以上、企業側も一種の”丸裸”になることを覚悟しなければいけません。都合のいい情報もそうでないものも出す、ずっと続ける(答え続ける)ことが最低限のルールです。その覚悟あるのかどうか・・?
その前に、手元にある宝の山をまずは活用してはどうか?と強く思います。ネットの世界で誰もが苦労して手に入れる”顔の見える情報”実は、業界的もっとも良質なものを多く保有しているのはホテル業界です。でも、その多くほほとんど活用されていません。それどころか、顧客カードはデータ入力さえされず、大切に箱にしまわれて、倉庫の奥底に眠っています。個人情報保護法の後、この傾向は更に強くなっているような印象を受けます。
個人情報の守秘はもちろん保たれなければなりませんが、より良いサービスを作り上げる上で、ゲスト個々のニーズをじっくり考る機会が十分にないのはとても残念に思います。それを見ていると、まずはある程度の固まり(セグメント)で考えて、そのあとが個人だと思うけどなあ、と思うのです。また、媒体には相性もありますし。(正直私はメールで届く宿泊案内はほとんど見ません。DMの素敵な写真で”行こう!”と決めるのです)
しばらくネット業界に身を置き、その変化のインパクトを見せつけられた後、私自身が感じたことは、”でも本物は生き残る”ということです。私は、顔の見えないネットの向こうの誰かより、携帯の先の誰かより、目の前にいる人、わざわざ足を運んでくれるリアルな人間に、リアルな人間は何ができるのか、という当たり前のことをまずは大切にすべきだと思うのです。