昨日、私の携帯は大忙し。いろんな方から、シーガイアがセガサミーに売却された、とのご連絡がありました。メデイァ関連の方々に私見をお伝えしているうちに、ホテル関係、リゾート関係、投資家関係からのメールや電話も多く寄せられ、関心の高さを実感しました。
まず第一印象は”良かった~”ということです。国内の会社であること、事業会社であること、資金があること、この3点があることはほぼ満点に近いと思います。エンタテイメント系の会社であることも、今後にはプラスに働くと思います。様々な候補が出ては消え、関係者の方々は心労があったと思いますが、まずはお疲れ様でした!
リップルウッドが買収し、保有した期間の一部でシーガイアに関わりましたが、これほど素晴らしいリゾートは世界的に見てもそうそうありません。アクセスの問題や日本の休暇の季節性の問題があって苦労はしますが、それでも、この規模のインフラを今後日本で作ることは不可能です。建築物だけれなく、あの松林やゴルフ場を維持し、オーナーシップが途切れることなく継続されることで、今後の可能性も広がると思います。
3セクが破たんして、外資のハゲタカが買収した!というショキングなニュースが報道されたのは、もう10年以上も前のことです。リップルウッド側で(後半は両方の立場で)働く立場としては、いいことも悪いことも多くもたらしたと思います。外人が大挙して押し寄せて混乱した時期、方向性が見えたと思ったらまたまた再リストラになった時期。幹部の方も多く会社を去られました。個別のことで見れば、もっとうまくできたのではないか、と悔やまれることも多々あります。その間、社員の方々は慣れない英語や東京弁(?)に苦労し、リーダーが変わることでの混乱に耐え、このリゾートを支えてきました。それは大変な努力だっただろうと思いますし、嫌になることだって多々あったと思います。
しかしながら、ハゲタカと言われるファンドが10年以上も保有し、多くの投資を行ったり、新しい考え方を宮崎の地に持ち込んだこと、資金を提供し続けたことは、十分理解し、評価もしてほしいと思います。これはファンドという業態にとって、たやすいことではありませんでした。私が在籍していた最中も、多くの議論や批判がある中、投資を継続してくださったことは本当に有り難いと思います。
福岡のシーホーク、長崎のハウステンボスと九州を代表するほかの2つのリゾートは、同じ期間でもオーナーが変わり続け、税負担や地元財界の負担を考えると、実質的にはまだ独り立ちしているとは言えない状況です。
シーガイアの場合、会社更生法適用になった際、債権放棄や償却負担の軽減など、様々なリセットはあったものの、そもそも事業単体として成り立つものなのか、ということが大きな課題でした。(毎年100億単位の営業赤字でしたから)GOPを黒字にし、EBITDAを黒字にし、そして遂には最終損益が黒字になりました。その後噴火や口蹄疫などで苦労を重ねたものの、安定した集客を保っています。その素地の強さは誇って良いと思います。
あとはぜひ宮崎の県庁・市役所・財界・観光関係の方々に、新しいオーナーを歓迎してほしいと心から思います。今回のオーナーチェンジを自力で成し遂げ、税金を使わずに雇用や取引を守ることの価値を真剣に受け止め、もっと盛り立てていってほしいと願わずにはいられません。