今週の日経ビジネス「さらばデフレ消耗戦」に、克服している事例で富山市が取り上げられています。(P38-39)昨年、この取り組みの詳細を、富山市長じきじきの講演で伺う機会があり、その戦略性と実行力の一端を知る機会を得ました。政治不信はなはだしい私ですが、富山の事例を見ると、政治がちゃんと機能すると、街はこうなれるんだ、と前向きな気持ちになれます。
富山の場合、もともとの地域力・市長の実行力・その市長を支持する地元の民度の高さなど、様々な要因が絡み合っていますので、表面だけを見て、”市街地活性化やコンパクトシティ化が有効”とは言い切れないところがありますが、今後の地域再生を考える上で、多くの示唆を含んでいることは事実です。
昨年からシティプロモーションのお手伝いをしているご縁で、この3月発売のクレアトラべラー春号の記事をプロデュースしました。あちこち取材に行くことも出来、富山薬膳の奥の深さを知り、一層この街への興味が高まっています。薬膳に限らず、富山が他の地方都市と異なると思う点は、食に対する意識の高さです。意識が高いと言っても、グルメ気取りというわけではありません。ちゃんとした食事にちゃんとした対価を支払う、という考え方が浸透していることです。それは、デパートやホテルを見ても同様で、ちゃんとしな品揃え、ちゃんとした価格、ちゃんとした賑わいが地元のデパートにあり、初訪問にして小さな感動がありました。
実は今回の取材の前に、クレアでも富山を取り上げました。その折にはお寿司屋さんを掲載しています。市役所の皆さんが行く寿司屋の値段を聞くと、ランチでも2000円~3000円とのこと。えっ、それ高くないですか?と聞いたところ、きょとんとした表情。いやあ、寿司はそのぐらいするでしょう・・。東京組の間ではその後議論が紛糾。東京だって1000円切って当たり前ですよね、市役所ってリッチなんですかね?属人的なものでしょうか?
その謎が解ける前に、偶然他のお寿司屋さんに行く機会が。タクシーに乗った際、運転手さんに”お奨めのところに案内してください”とお願いしたところ、”営業所の裏”に連れていかれました。ああ、これは失敗したかなあ、営業所の裏かあ、と思いつつ、ほかにあてもなく、その店に行ってみることに。と、これが大当たり!もちろん1000円を切る、などという訳にはいきませんが、ランチとしては手頃な価格で、たぶん東京の倍以上の価値の内容。富山は”まわるすし屋”でも、すごいネタが出るとのことで、次回は人生初めての回る寿司に行ってみたいと思っています。
どこに入っても、”ちゃんとしたもの”が出てくる富山。この”ちゃんと”の感覚が、この地域の強さの源泉のような気がします。そして、そんな富山の食の歴史的資産、薬膳。ぜひこの1冊を参考に、富山に”薬膳ツアー”にお出かけください。