フランスの経営大学院であるINSEADでマネジメントコースを受講していた折、その人の価値観を調べる調査がありました。様々な項目につき質問を受け続けた結果、私のタイプは”自己実現タイプ”でした。その価値観は、地位とかお金よりはるかに強い、との結果でした。私はこのとき、自分がこれからどうするか悩んでいる時期でもあったので、この結果は強い記憶となって残りました。
その後、ウィンザーホテル洞爺やフェニックスシーガイアリゾートの再生に従事するわけですが、やりがいを感じると同時に、ああ、大変だなあと思うことも山のようにありました。でも、周囲がどう評価しようが、私の中には一つの達成目標があり、そこをクリアすれば、自分なりには納得していたのです。 ただ、そんな中で大きなストレスを抱え続けたのは事実です。組織の中で仕事をする上で、自分が思う正しさが100%通ることなどありません。(とはいえ、かなり理不尽な状況の連続だったとは今でも思います)東京に戻ってきて、色んな選択肢を考える中、一つ考えたのは”好きな人と仕事をしたい”ということです。
色々考えて仕事をしてきたつもりですが、結局その方が達成できることが多かったと確信を持てたからです。 比較的激しい業界で仕事をしてきたこともあり、本当に多くのタイプの人を見てきました。私情をはさまないように努力していても、それなりにはっきりと好き嫌いがあることも自覚しています。まず私は、他人に対して敬意を持てない人がとても苦手です。多少強欲とか、多少だらしない、とか色んな人がいるわけですが、それはまあ許せます。でも、敬意を持っているかどうかは、日常的にひしひしと感じるわけで、どれだけ賢いことを言ったとしても、そういう人の言葉は胸の奥には届きません。
シーガイアのプロジェクトは、本当に厳しいものでしたが、わかってくれる少数の方に精神的に支えられた日々でした。マーケティングのプログラムは、それが成功するかどうかなんてわかりません。でも、”あなたなら必ず成功させられる”と希望以上の予算を獲得してくれたCFOに私は今でも深く深く感謝しています。信用されている、私のためにこの人はリスクを取っている、との思いが私に力を出させてくれたのだと思います。
長年仕事をしてきて、多少の我儘を主張できるようになった今、私は居場所を選んでいます。スパのオペレーションはホテルという相手あってのものですが、本当にいつも意見を取り入れてくださり、多くのことを達成する喜びを与えていただいています。だからこそ、ホテル側にも最大の結果がもたらされるよう、私なりに知恵を絞りますし、スパとは関係なくても、お客様を紹介したりといった営業サポートもします。もともと根がお節介なので、喜んでもらえることは結構何でもするのです。スパを開業してから、リーマンショックあり、震災ありと世の中的には大変なことの連続ですが、あまり荒波にもまれず過ごしてこられているのは、場所に恵まれているからだと思います。
プロジェクトに関わる際、私が気にするのは、まずチームワークです。想い無きところに結果なく、敬意なきところにエネルギーはありません。ある程度までは我慢して力技で持ってこれても、参加する人たちが”楽しい!”と思って集うことができなければ長続きしないものです。
そんなことを感じることの多いこの頃、うちの現場はどうかな?と振り返るいいきっかけになりました。せっかく社員として入社してくれたウェルネス・アリーナのスタッフたち。一人ひとりにとって、いい仲間を見つけて、まずは楽しく出社し、できれば何かを達成できるような場所であればいいなと思います。