ALL THAT SPAの名前は、映画のALL THAT JAZZから来ています。スパのオリジナル製品の名前を考えているときに、ふと思い出したこの映画、映画公開当時(1979年)に、この英語の意味が大きな話題となりました。すべて(All)がついているので、ジャズの全て、と訳した文章もあったのですが、”あれこれ””大好き”といった意味で解釈されています。
この映画、天才振付師と呼ばれたボブ・フォッシーの自伝的内容ですが、”大好き”を超えて、人生を捧げてでもいるような印象を受けます。舞台・振付を生み出すことがいかに苦労の連続か、でもそれをせずにはいられない、というクリエーターの人生そのものが描かれています。彼自身が振り付けやフォーメーションで悩んでいる中、スタッフたちが彼を見つめるシーンはとても印象的です。受け取る側・指示を待つ側には、たった一言のことで、簡単な指示だろうと思っても、その一言を生み出すまで、たとえ細かなディテールであっても、その背景にどれほどの試行錯誤があるのか、作り手の孤独感を痛いほど感じさせる名場面です。
映画の中で、病気を患うシーンがあるのですが、そこで”All that life, All that JAZZ"とつぶやくシーンがあります。”たかが人生、たかがジャズ”と訳されていました。イギリス英語では”たかが、大したことない”という米語と真逆の意味もあるそうですが、この言葉、とことんやりつくした人がつぶやく”たかが”の重さを感じます。
私にとってのスパは、ボブ・フォッシーにとっての振付と同じようなものです。ホテルスパを舞台にしての出会いもあるし、人の成長もあります。クリエーターたちにとっては、コンテンツを思う存分お披露目できる場でもあります。そしてスパにこだわるゲストは、そんな”オリジナル”を求めて世界中旅しています。
幸い、映画の主人公であるジョー・ギデオン(ボブ・フォッシー自身がモデルだと言われています)ほど孤独でも破天荒でもない私は、”ううむ”と唸りはしても、命を削るほどの苦悩もなく、そしてよく眠り、スパの”オリジナル”をせっせと作っています。ご縁に恵まれて、たくさんの方たちの才能とお力添えで、今回のスパは誕生します。そして、もちろんトレーニング中のセラピストたちがその全てを伝える大切な役割を担います。
”あれこれ””大好き”を感じていただけるお店にできるよう、ここからが仕上げの正念場です。