今月号の婦人画報で、日本のフレンチを特集しています。情報量といい、バランスの良い取材といい、とてもいい特集だと思います。知人のお店が多く出ていたり、自分が関わっていたプロジェクトの位置づけを再認識したりしつつ、じっくり読みました。
私はいわゆる”食通”ではないと思うのですが、ウィンザーホテル洞爺のプロジェクトをきっかけに、シェフや料理業界の友人が増え、新しくお店をオープンした、とかメニューを新しくした、といったお知らせをいただく度に、お店に伺って堪能させていただいています。料理を生み出すシェフたちの情熱や努力には素晴らしいものがあり、その姿勢に感銘を受けたり、学ぶところもたくさんあります。そこで感じたことを、スパのサービスに活かすことも多くあります。
ウィンザーホテル洞爺での体験で感じたことは、一流のシェフは一流のクリエーターであり、リーダーであるということです。その土地やゲストを理解するという深い敬意に裏付けられた人の料理は、輝きに満ちています。ミシュランの格付けに関して、様々な意見はありますが、その評価基準が日本のフレンチのレベルを上げたのは事実だと思っています。それは、”シェフが現場にいて、手を動かす”ことを重視している点です。
フランスをブラブラしていた折、サン・ルイ島で素敵なレストランを発見しました。窓がピカピカに磨かれ、スタッフの佇まいも清潔感がありました。お花のディスプレイも素敵だったので、一人でもディナーできるかを聞き、夜に出かけました。上質感がありつつも、温かい素敵なお店でした。帰国してから、日本ですでに有名で、ビジネスとしても成功したシェフが、敢えてパリでチャレンジしたお店だったと知りました。
数年前から、海外でも、日本のフレンチを賞賛する声をよく耳にする機会が増えました。アジアの富裕層の中には、わざわざ日本にフレンチを味わいに来日する人もいるほどです。和食は確かに日本をアピールできる食文化ですが、やはり世界のスタンダードはフレンチです。そのスタンダードの上で、日本のシェフのレベルを評価されているんだな、と感じることがあります。その意味で、シェフたちの努力や、こういったメディアの取材はこの上ない日本の魅力の発信だと思います。
益々美味しい季節ですが、”馬肥ゆる秋”にならないよう、しっかり運動してお店に伺いたいと思います(笑)