青山の根津美術館で公開されている、尾形光琳の燕子花図屏風を見てきました。根津美術館の収蔵作品で、毎年この時期に公開されますが、今年は、尾形光琳300年忌記念ということで、より充実した内容でした。
根津美術館は、根津嘉一郎のコレクションが基になっている、施設美術館ですが、お庭に美しいカキツバタが!少し早いと蕾だし、満開の時期は混むしで、タイミングが難しいところ。満開&晴天の日でしたが、その分大賑わいでした。
尾形光琳の燕子花の屏風、着物にすると素敵だなあ、と思って眺めていたら、生い立ちの説明のところに、”京都の高級呉服商に生まれ”と書いてありました。漆器の図案や、弟の乾山の陶器の絵付けの図案なども展示されていて、デザイナーとしての広がりを感じることができます。今で言う、アートディレクターだったんですね。
さて、この根津美術館、国宝である燕子花の屏風をはじめ、素晴らしい和のコレクションがそろっています。6000点以上あるそうで、お庭には4つの茶室もあります。明治維新の頃、大名が経済的に維持できなくなったものを、コレクションしたとのことなのですが、当時、国宝級のものが安値で海外に流出するのを阻止すべく、私財を投じて買い取ったそうです。尾形光琳の作品は、特に外国人に人気があり、特に流出が激しかったそうです。構図がモダンで、洋の空間にも合います。人気があるのも、わかる気がします。
この嘉一郎さんのお陰で、風薫るこの季節、お庭のカキツバタと屏風の燕子花を両方楽しむことができるんだなあ、と深~く感謝しつつ、美術館を後にしました。美術品にも”sense of place"が大切なんだな、と実感した一日でした。