先週末、卒業して以来初めて、大学主催のイベントに参加してきました。総合政策学部が新設されるにあたり、講演会があると案内があったからです。
津田塾は、幼い頃に、米国に留学生として派遣された津田梅子が、女子教育のために開いた塾が始まり。まだ女性が勉強することに社会的な抵抗があった時代に個人の力で開設され、そして多くの個人の支えで今日を迎えています。数日後に見たピーターラビットの作者、ビアトリクス・ポターの生涯とも、どこか通じるところがあります。女性の場合、社会的な名誉とか金銭より、好きなことを貫く方がパワーが出るのかもしれません。
そんな津田塾も、新たなステージを迎えています。新しい学部開設の経緯や狙いについて、講演なさったのが、萱野稔人教授。よくテレビに登場なさっている方です。学位を取ったパリ第10大学は、若きフランス大統領が卒業しただ大学です。。ちなみに選考は哲学だそうです。とても話の上手な方で、津田OG数百名を前に、わかりやすく、ジョークを交えてお話が続きました。学部開設には内部の反対意見が多く、一方で外部からの期待感・応援は強く感じた、というくだりは印象的でした。不安だったけれど、いい生徒が集まって良かった、と何度も口にされていました。
とても率直に話しをされる方で、嬉しかったことも苦しかったことも、かなりリアルに伝わってきました。色んな学校開設問題が取り沙汰される昨今ですが、新しい学びの場を作ることは、こんなにも迷い・悩み・そして素晴らしく意味のあることなのだ、と実感できました。
思えば、創設者の津田梅子も、ずっと迷い、資金の悩みを抱え、自分の人生をかけてこの学校を作りました。昔も今も、人を育てる場所を造るって、そういうことなんですね。
講演があったのは、広瀬ホールという最も広い会場でした。今回キャンパスとして準備された千駄ヶ谷の建物は、もともと津田スクールオブビジネスという英語の学校があった場所で、同窓会の資産でしたが、この礎を築いたのが、広瀬さんなのだそうです。在校生も卒業生も利用する場所で、私も在学時、英会話のクラスに通っていました。この同窓会の資産を寄贈する形で、新しい学部が新設されたとのことです。
私の前の席に座っておられたのは、90歳近い大先輩でした。以前の津田ホールに、定期的に通っておられたとのことで、今後この校舎を、どう卒業生に開放するのか、どんな学びの機会があるのか、とのご質問でした。こうやって、一生学び続ける先輩の背中に、そして、母校が挑戦し続ける姿に、元気づけられた日でした。