週末になると、読書タイム
アトキンソンさんの本は、単なる観光本とは異なります。ちゃんとデータに裏付けされた経済書です。説得力のあるデータの出典を見てみると、公的なデータを見やすく加工したものでした。頭が下がります。
実は、日本には、議論のベースになる観光データがほとんどありません。ホテル再生に関わった2つのプロジェクトの最中、これには困りました。役所が出しているデータはもちろんのこと、JTBの研究所、そして、コンサルティング集団であるはずのKPMGからのデータの提示がありませんでした。
ということで、私も”日本には無い!”と苦しい言い訳を投資チームに述べ続けましたが、怠慢でございました・・。この本を読むと深く反省します。
先日行われた講演で、なぜ自分がホテル再生に関わろうと思ったのか、当時の事情を説明しました。大きなきっかけは、IT、メディア系の投資に関わったいた際、日本の市場に可能性が無いということで、その資金が中国に行ってしまったことでした。2000年頃のことで、当時の日本はネットバブルの終わりごろでした。
その頃に、何となく感じた従来の”日本の強み”への疑問と、観光業の持つ産業としての可能性という直観で、ウィンザーホテル洞爺の再建に参画することにしました。(このあたりの心境については、「SPA INLIFE」の中に書いています)それから、20年近くが経過し、”日本の強み”と思われたいた部分が脆くも崩壊しているのはご承知の通り。データの世界で見る限り、日本は”貧しい国”になりつつあります。何となくの疑問は、INSEADで見たデータで確信に変わったのですが、本当に数字は嘘をつきません。
海外から来る友人やゲストと話をする際、以前あったテクノロジー系の話はほとんど出なくなり、移民政策、観光、食の話に終始します。この流れをポジティブに受け止め、アクションにつなげたいものです。