着物をたまにしか着なかった頃は、すべてきものクリーニングに出していました。着物も長じゅばんも正絹ですから、自分で手を出すのが怖かったのです。
ですが、毎週のように着るようになるとそうもいきません。洗える着物は洗濯機で洗うにしても、正絹の着物を着るようになると、ある程度の基本は理解しておいた方が良いと思うようになり、また情報収集してみました。着物本には、たたみ方・お手入れ方法・収納方法が初心者向けに説明してあるものもあるのですが、これがまた読みにくい!というか、昭和初期の手入れ方法がそのまま書いてある感じなのです。”半年に一度すべての着物を出して陰干ししましょう”、とか、”桐の箪笥が一番”とか書いてあっても、そもそも今の住居には押し入れが無いですし、桐の箪笥を置く場所もありません。お手入れ方法についても、何かといえば、”専門店に出しましょう”と書いてありますが、そもそも専門店が減っている中、どうすればいいのよ!?という感じです。
そういう時はまた本屋さんとアマゾン。色々探している中、発見したのが、この本。
著者の高橋和江さんは、たかはしきもの工房という着物小物を扱うお店もやっておられ、すぐれものを次々と開発なさってます。偶然にも、こちらの帯枕(またこれが絶品!)を購入した直後に、高橋さんのセミナーに参加する機会がありました。とても楽しく納得しきりだったので、その日にすぐ、アマゾンでこの本を購入しました。
高橋さんは、もともと着物のお手入れをする悉皆屋さんです。持ち込まれる着物の汚れを数多く見る中、日ごろのお手入れのコツがわかっていれば、着物のいたみが少なく長持ちすることを感じておられたそうです。その事が着物小物の開発や手入れ方法を伝える事につながっているとのお話でした。
まず、私がしたことは、拍子にも出ている”リグロイン”を購入することでした。アマゾンで購入できます。
重層と洗濯石鹸はキッチン用に家にあったものを流用しました。リグロインはベンゼンと同じような使い方をしますが、とにかく揮発のスピードが速く、ベンゼンそのものがシミになりにくいのが特徴です。拭く時は、手ぬぐいが便利です。こういう時は、やはり和小物同士が相性がいいんですね。
さて、本にも出ていない私流のひと工夫、それが、スチームアイロンを使う事です。
これもアマゾンで購入可能。
価格もお手頃。
着用後の着物をハンガーにかけて干す際に、スチームアイロンをあてておくと、ほとんどのシワは綺麗に取れます。お茶のお稽古やお茶事は、正座の時間が長いので、どうしても座りじわがついてしまいます。気になっていたのですが、これで解消されました。帰宅したら、ハンガーに着物をかけ、ドア枠の高い場所にかけて、スチームアイロンをあてていきます。
最初は、ハンガーが滑り落ちて大変だったのですが、便利グッズ発見!このフックをかけるだけで、楽々!
スチームの水分が抜けた頃に、畳んで仕舞ってお手入れ終了です。
絹は、もともと低温プレスが向く素材なので、このスチームアイロンの温度と水蒸気の加減は最適です。おおっというぐらい綺麗になります。
さて、最初は、たかが”着る物”のために、お手入れ方法だの収納方法だの、本当に面倒くさい・・。と思っていたのですが、”衣類のお手入れ”を学ぶ良い機会となりました。例えば、洗えるお着物も”脱水は控えめに”と書いてあったので、脱水時間を短くしてみたら、ほとんど衣類にしわが残らないことがわかったりました。全自動設定時間は、タオルには向いてもシャツやブラウスには長すぎる脱水時間だったようです。
綿100%の足袋は、石鹸と重層につけ置きしておくと、驚くほど真っ白になる事がわかったり。絹の復元力が高いとわかったり。
着物だけでなく、洋服の方にもプラス効果が。それまで、忙しい忙しいと、ちょっとシワがついただけでクリーニングに出していたのですが、着物のお手入れついでにスカートやワンピースにもささっとプレスするようになりました。
面倒だと思っていたことが、理由と方法がわかると楽しくなる!何だかとってもいい気分です。