私は1964年の6月8日生まれ。そう、東京オリンピックの年に生まれました。小学校のときも、中学校のときも、入学式・卒業式、毎回偉いおじさんたちのスピーチは、”え~、東京オリンピックの年に誕生した諸君は・・”という言葉で始まってものです。赤ちゃんだったから、もちろんその頃の様子はわかりません(笑)。大学進学で東京に来て、代々木のあたりを見て初めて、”すごい大会だったんだなあ”と感動しました。代々木体育館は、今見ても本当に素晴らしい建築です。
ホテルに携わるようになると、オリンピックを機に、洋食やビュフッフェが発展して人材教育が進んだことや、今のユニットバスルームは、オリンピックに向けたホテルの開業ラッシュが生んだ発明だ、という事を知るようになります。他にも、道路や新幹線など、今の日本のインフラが、ここで一気に開発されました。
で、札幌五輪を経て、前回は長野五輪。この大会をきっかけに、長野新幹線(今の北陸新幹線)が開通し、軽井沢が日帰り圏になりました。雪質の良い白馬は、その後もずっとインバウンド観光の拠点になり、今では、外資の投資が安定して続いています。
個人的には、長野五輪、現地にも行きました。
抽選会もやりました
グッズもいろいろ。長野のものと前回のアトランタのときのもの。
とにかく来る日も来る日も色々作る。キャンペーン企画、告知CM, プロモーションメカ、実施、あたり缶の開発、スーパー大陳用の旗とか腰巻とか店頭で流すCMの再編集とか。それに聖火リレー用の小物・ウェア、選手用、VIP用、記者会見用。多分、小物も入れると2000種類ぐらい。作って作って作りまくります。当然、IOCの承認が必要なので、通常の開発の2倍以上は時間がかかります。この時、ほぼ世の中に存在する大半の制作物を経験したのではないか、と思います。とっても鍛えられました。
それから、最初の写真は、VIPパスなのですが、この時はじめて、”ホスピタリティパッケージ”なるものを経験しました。スポンサー向けの特別な移動+滞在+観戦+パーティのパッケージです。直前にキャンセルが出たそうで、”明日これる?””行く!”という感じで行き、VIPゲスト体験させてもらい、舞台裏の見学もしました。この時の経験が、その後シーガイアのゴルフトーナメントのマーキーテントの開発や、ウィンザーのときの空港送迎に繋がります。
オリンピックは、政治色が強い、と言われますが、悪いことばかりではありません。政治色が強いからこそ、理想と建前が基本になります。長野のときには、自然との共生とパラリンピックが重要なテーマになりました。今回の東京では、環境問題に加え、オーガニック、禁煙、ジェンダー、マイノリティなどが重要になっており、だからこそ、東京ではかなり禁煙の場所が増えました。ある意味で、オリンピックを使って、なかなか解決しない国内課題を一気に解決する手段、という見方もできます。
震災復興はどこかに消え、コロナも収束しないし、あ~オリンピックやらない方がいいんじゃない?と思っていたところの森発言、それに二階発言に中西発言と日本の素顔続々。
こうなってきたら、やった方が良いと思います、オリンピック!やっと課題が見えてきた感じ。タバコ問題と同様に、ガイアツで、女性問題も少しは進歩するといいんだけど。
と同時に、やっぱり美しい東京を世界の人に見てほしい。ちょっとは交流も欲しい。オリンピックの建前の良さも、少しは発揮してほしい。
海外VIPの来日は難しそうなので、使わないホスピタリティパッケージを、オークションに出すのはどうでしょう?購入する人には、最高の思い出になります。収益は、医療従事者やコロナで生活が変わってしまった人の支援に使えるといいと思います。
と、前向きなムードになるように、政治家は邪魔をせず、組織委員会は、もうちょっと頑張ってほしい。