新宿のSPA sunyaが開業して1ヶ月が経ちました。トリートメントを楽しんでいただいたゲストが、まず口にされるのが”音が素晴らしい”ということです。
トリートメントベッドで施術を受けているときも、そしてビューバスで空の景色を眺めているときも、あー、いい音だなあ、と感じられるようです。単なるスパミュージックではない、この音、すべてがオリジナルです。sounddesignlabの斎藤さんにお願いしました。
https://soundscapedesignlab.com/
大自然の中にあるスパには、自然音があります。海のそばなら波の音、森の中なら木々のざわめき、そして小川の清流など。ただ、実際には、リゾートホテルでも賑やかな音楽や人の声にかき消されることもありますし、強すぎる風の音が眠りを損なうことだってあります。ほどよくストンと眠りにつける音は、なかなか難しいものです。
スパにどんな音を入れるかは、私自身がスパを作り始めた20年以上前から、なかなか解決できない宿題でした。世の中にはヒーリングミュージックというジャンルがありますし、スパ用に専門の音作りをしている会社もあります。そのどれも、色々試し続けました。海外のスパカンファレンスに出席した後、音楽ブースに立ち寄り、ジャスラックフリーのCDを鞄いっぱいに抱えて帰国したこともあります。大阪の店舗を手掛けた際には、通天閣の近所にあるジャズの専門店でCDを購入して、自分で編集したりもしました。
が、うまくいかない・・・。
いい感じ、と思っても、現場スタッフから、”小さすぎる、大きすぎる、突然アップテンポになって、ゲストが眠れないそうです”などなどクレームの嵐。一方で、私は腰痛になるまで自宅で作業をし続けてもはやキレそう。などなど、労多くして実りないトライアルを繰り返していたある日、知人から、”スパの音作りに興味がある人がいるんだけど、会ってみない?”という一通のメールが届きました。いくつかのプロジェクトをご一緒した川上シュンさん。彼が作ってくれるロゴやサイネージは、わかりやすくてセンスが良いので、きっとお友達もセンスが良いのではないか?と思って、”会いたい!”とソッコーお返事しました。それが斎藤さんとの出会いです。
新規のプロジェクトが無いタイミングだったのですが、まずは実験的にやってみようと思って、既存店でテストを繰り返しました。限りある資源(理想的なスピーカーじゃなくても、という意味)でも、工夫をすれば音が立体的になることは理解できました。そして、その音が、ゲストの無意識な状態に心地よく働きかけてくれることも。
そんな中、新宿のプロジェクトのお話をいただきました。東京新宿歌舞伎町、自然音など何もなく、ストレス値が極限まで高そうなこの場所だからこそ、心に響くスパの音が絶対に!必要だと思いました。私の手で運営をしてもしなくても、音だけは作りたいと思って、すぐに斎藤さんにメールをしました。
プロジェクトの続きを新宿でやりたいこと、今回は東京の音を収録したいこと、場所は明治神宮や玉川上水あたりを考えているんだけど・・。といった内容をお伝えし、そこから数年間にわたる音作りが始まりました。そして、現場でもずっと調整していただき、出来上がったTimetableがこれです。
この後、数回に分けて、この音作りの話をします。が、百聞は一見に(一体験?)にしかず。是非SPA sunyaに来て、この音を耳にしながらトリートメントを受けていただきたいと思います。